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香川医科大

直線関係式(Deming法)と回帰分析

一次回帰・相関係数の「誤解」

 臨床検査の分野で「2測定法の関係」を解析する必要がしばしば生じます。このような際に、「一次回帰式と相関係数」を求めて「よし」としていませんか?

 このような解析法には原理的に問題があります。

 一次回帰、あるいは直線回帰と呼ばれている回帰分析法は以下のような前提(単回帰モデル)に立った手法です。

 これを数式で書くと yi = b0 + b1・xi + ei (i = 1,2,3...) ということです。ここで、eiは正規分布するランダム誤差です。また、回帰式でいうとb0は切片、b1は傾きです。

 2測定法の関係を解析するとき、2法の間に「原因と結果」の関係は有り得ません。また「x法には誤差が無い」ということも有り得ません(そもそもどちらがxか、yかなど決められない).またyの誤差は測定濃度があがるにつれ、大きくなるのが通常です.

 また、相関係数とは、因果関係が存在するかどうかはっきりしない2つ(またはそれ以上)の対応のあるデータ系列の間の関係を調べるための指標で、一方が増加したときに他方も増加すると相関係数は1に近づき、一方が増加したときに他方が減少すると相関係数は−1に近づきます。このときに、2つのデータ系列の間に因果関係がある(相関係数が有意)かどうかの検定をおこないますが、「相関係数が有意」だから「因果関係がある」と断定できないところに注意が必要です.

 さて、2測定法の間の関係を考察するときに、2法の間の「相関関係」は「あって当然、なければ驚き」であり、相関係数によって解析するべき事象でないことは明らかです。

 このように、「2測定法の比較」という問題に一次回帰や相関係数を用いるのが誤りであることが分かります。

直線関係の解析

 「2測定法間の比較」とは「2データ系列間の直線関係」の解析といいかえることができます。このような場合に用いることのできる分析法には以下のようなものがあります.

Deming法
パラメトリックな直線関係式。x,yの分散の比で補正する.
幾何平均回帰(Geometric Mean regression、または標準主軸回帰)
二つの一次回帰(y on x, x on y)の傾きの幾何平均による回帰分析。パラメトリック法
Passing-Bablok法
散布図上のすべての2点間の傾きの中央値に基づく回帰分析。ノンパラメトリック法

論より証拠

 次のテキストエリア内にコンマ区切り形式のx,yのデータを入力し、[計算]ボタンをクリックすると、直線関係式(Deming法)と一次回帰による回帰直線を含む散布図が表示されます。

 データは以下のような形式で入力してください。半角数字、コンマ、小数点以外は使えません。

15, 17.3
16,14
12,14
15,13
5,6
3,4
7,4
24,21
15,17
21,20

データサンプルがあります。

 ブラウザの編集メニューの「すべてを選択」->「コピー」でデータを複写して上のテキストエリアに貼付け、[計算]を押してみて下さい.

 散布図のグラフが表示されない場合は、グラフ作成サーバーがダウンしている可能性があります.

 [計算]を押しても表示されない場合は、後ほど改めてアクセスしてみて下さい.

使用条件

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