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同一物質に対する二つの測定法を比較する場合、一次回帰を用いることは統計手法の誤用であることがかねてから指摘されている。代替手法としてはパラメトリック法であるDeming回帰、標準主軸回帰、ノンパラメトリック法であるPassing-Bablok法などがある。
今回われわれは、生化学検査項目の実測値をもとにし、乱数による誤差を加えたシミュレーションデータをもちいたコンピュータシミュレーションにより、それぞれの回帰分析手法の標準誤差、検出力などを検討し、適切な手法の選択、必要とされるデータの例数などについて検討した。
われわれはサンプル数・ばらつきと検出力の関係に注目し、「二つの測定法間の切片・傾きの差の検出目標を十分な検出力(90%以上)をもって有意差としてとらえるために必要なサンプル数」という観点から、回帰分析に必要なサンプル数を検討した。
切片の差の検出目標を0.2(K、Ca、総タンパクなど)、または2.0(Na、Cl、血糖、逸脱酵素など)とし、傾きの差の検出目標を0.02とした。
対象とした項目を、その測定レンジ比(99パーセンタイル範囲の最大値/最小値)と分布型によっていくつかのグループに分類し、無作為抽出した実測データに対し、標準正規乱数を元にした残差を追加して2系列のシミュレーションデータを作成し、回帰分析の際の切片・傾きの検出力とサンプル数の関係を調べた。
測定レンジ比の大きなもの、許容誤差限界の大きなもの、測定誤差の小さなものは必要なサンプル数が少なくてすみ、逸脱酵素(測定レンジ比8.0以上)では測定誤差CV2%でサンプル数20で検出力90%に達した。一方、Na、Cl(測定レンジ比2.0以下)では許容誤差限界も小さいため、測定誤差CV2%でも100〜150例が必要であった。
また一致度の悪いデータの回帰分析についても検討を加える予定である。