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香川医科大

FT3,FT4,TSHの迅速報告への試み

The attempt to a rapid report for FT3,FT4,TSH

香川医科大病院検査部,同臨床検査医学*
○野口早苗,多田達史,黒田紀行,稲毛敏宏,多田亜由,梶川達志,新見道夫*,田港朝彦*

目的

甲状腺刺激ホルモン(TSH),遊離トリヨードサイロニン(FT3),遊離サイロキシン(FT4)は甲状腺機能障害の診断・治療の指標として重要である。TSH,FT3,FT4の測定は従来RIA法が中心であったが,近年はnon-RIA法であるEIAやCLEIAなどの高感度化,自動化が進んできた。

 今回我々は,non-RIA法によるTSH,FT3,FT4測定法の基礎的検討を行い,診察前検査としての迅速報告について検討を行ったので報告する。

方法

TSH,FT3,FT4の測定にはADVIA:Centaur(バイエルメディカル)およびAIA 21(東ソー)を用いた。Centaurは化学発光免疫測定法(CLIA法)により分析を行い,反応時間は7.5分で一時間に240テストの処理能力がある。AIA 21は蛍光酵素免疫測定法(FEIA法)で,反応時間は10分で一時間に120テストの処理能力である。検体は当院の外来および入院患者血清を使用し,自己抗体の検出には35%PEGを用いた。測定法の比較評価は,Passing-Bablok regression(統計ソフトanalyse-it)を用いた。この方法により傾き,y切片の95%confidence interval(CI)を求めた。

結果

  1. 同時再現性:2濃度の管理血液を用いて検討した。CentaurのCVは0.70〜2.78%,AIA21のCVは1.99〜4.35%であった。
  2. 日差再現性:2濃度の管理血液を用いて検討した。CentaurのCVは1.24〜4.14%,AIA21のCVは1.99〜8.00%であった。
  3. 相関:RIA法(X)との相関関係を検討した。

    Centaurとの相関はTSH:y=1.384x-0.134,r=0.980, FT3:y=1.208x-0.934,r=0.971, FT4:y=0.842x+0.055,r=0.987となった。

    AIA21はTSH:y=1.369x-0.113,r=0.973, FT3:y=1.200x-1.190,r=0.983, FT4:y=0.921x-0.001,r=0.975であった。
  4. 測定時間(迅速性)の検討:2分間隔で2〜3検体を4組セットし,FT3,FT4,TSHの結果が出力されるまでの時間を測定した。Centaurは19〜20分で測定でき迅速性に影響はなかったが,AIA21は21分から29分と検体数が多くなるにつれ測定時間が延長した。

結語

Centaur,AIA21ともに簡便にFT3,FT4,TSHを測定可能であった。とくにCentaurは迅速性に優れており,十分診察前検査に対応できると考える。


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