検査部ホームページへ
香川医科大

新しいグリコアルブミン測定試薬「GlyAlb-OY」による
グリコアルブミンの検討

香川医科大学医学部附属病院検査部、*同臨床検査医学
      ○多田達史、梶川達志、*田港朝彦

はじめに

 グリコアルブミン(GA)は、過去2〜3週間の平均血糖値を反映する血糖コントロールの指標として測定されている。従来、GAの測定はボロン酸カラムによるHPLC法が主流であったが、専用機器が必要であり、処理能力などに問題があった。最近になってGAの酵素法が開発され、生化学自動分析装置での測定が可能となってきた。今回我々は、オリエンタル酵母社から発売された「GlyAlb-OY」について基礎的な検討を行ったので報告する。


方法

 本試薬の測定原理は、GAをプロテイナーゼKによりGA断片にし、その後ケトアミンオキシダーゼを反応させた時に生じる過酸化水素をパーオキシダーゼで発色、定量する。自動分析装置にはTBA-80FR・NEO(東芝ラボメディカル)を使用し、検体10μlに第一試薬(プロテイナーゼK)を250μl加え、37℃で5分間インキュベーションした後、第二試薬(ケトアミンオキシダーゼ)を50μl添加し、3分間の吸光度変化量を主波長604nm、副波長700nmで測定した。

測定法の比較にはPassing-Bablok regression(統計ソフト:Analyse-it, Analyse-It Software, Ltd.以下PBRと略す)を用いた。有意差検定はPaird t-検定、Wilcoxon符号付順位検定、Mann-WhitneyのU検定を用いた。


結果.

  1. 再現性:同時再現性(n=20)、日差再現性(n=12)を検討した。2濃度(平均16.14%、23.19%)のCV(%)の同時再現性はそれぞれ0.62、0.65であった。日差再現性(平均16.25%、23.06%)のCV(%)はそれぞれ1.42、0.74であった。
  2. 希釈直線性および検出限界:高濃度GA検体を生理食塩水で希釈して検討した。少なくとも1,211μmol/lまでは原点を通る直線性がえられた。検出限界は、低濃度GA検体を段階希釈し、それぞれ5重測定して3SDの幅が、水ブランクと重ならない濃度を求めた。本法の検出限界は31.08dμmol/l以下であった。
  3. アルブミン測定法の違いによるGA値:アルブミン測定をBCP法(デンカ生研究)、BCG法(和光)、新BCP法(カ イノス)で行い、糖尿病患者30例を測定した。測定値(n=30)の平均値±SDはBCP法(23.84±6.17)、BCG法(22.52±6.03)、新BCP法(23.66±6.39)であった。BCG法で測定したGa値は他法にくらべ有意に低値であった(Paird t-検定)。PBR法ではBCG法とBCP法および新BCP法で傾きに有意差があったが、BCP法と新BCP法とでは傾きに有意差は認められなかった。
  4. アルブミン値による臨床的検討:アルブミン値によりグループ1(3.1〜3.5g/dl)、グループ2(2.6〜3.0g/dl)、グループ3(2.1〜2.5g/dl)に群分けした。さらに、それぞれのグループでHb値が正常(12〜16g/dl)の患者のみを選別してGA/HbA1c比を検討した(n=10)。GA/HbA1c比(平均±SD)は、それぞれ3.17±0.22、2.96±0.49、3.59±0.90となり、グループ3のGA/HbA1c比が高値であった。

このページは香川医科大学検査部の紹介・情報提供が目的であり、
営利目的のものではありません。
香川医科大学
香川医科大学 検査部
検査部 clinilab@kms.ac.jp
Web管理者 tinage@kms.ac.jp
4