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香川医科大

血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ測定試薬の自動分析機への適用

Evaluation of the platelet activating factor acetylhydrolase assay kit by autoanalyzer

香川県立医療短期大学臨床検査学科立石謹也
香川医科大学医学部附属病院検査部多田達史,梶川達志
同臨床検査医学講座新見道夫,田港朝彦
【目的】

血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(Platelet activating factor acetylhydrolase:PAF-AH)は細胞内に2種類(T型,U型)と血液中に1種類(血漿型)存在することが知られている。このうちU型と血漿型PAF-AHはPAFおよび酸化リン脂質に基質特異性を持ち,これらの分解に関与している。
今回,血漿型PAF-AH活性を検討するにあたり,血漿型PAF-AH測定試薬キット(Cayman PAF Acetyl-hydrolase Assay Kit)の処理能力と精度の向上を図るため,キットの自動化を試みた。

【方法】

自動分析装置は日立7070型を使用した。キット添付の試薬をそのまま使用し,発色剤(5,5’-dithiobis(2-nitrobenzoic acid):DTNB)は自家調製した。
調製方法は5mmol/lの2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid(MES)緩衝液に1.44mmol/lのDTNBを溶解し,0.01NのKOHを加えてpH=6.1とした。
各パラメータはキットでは検体10Βl,第一試薬(0.1mol/l Tris-HCl緩衝液,pH=7.2)5Βl,第二試薬(DTNB)10Βl,第三試薬(基質:2-thio-PAF)200Βl,測定波長は414nm,反応時間5分の2point assayで,自動分析法では,検体20Βl,第一試薬(緩衝液)10Βl,第二試薬(DTNB)20Βl,第三試薬(基質)350Βl,測定波長405nm,反応時間5分のRate assayで行った。

  1. 同時再現性は4濃度の患者試料を各10回連続測定し,そのCVを求めた。
  2. 直線性は高濃度患者試料にて生理食塩水で希釈系列を作製し,各試料を測定した。
  3. 干渉物質の影響
    影響試験は干渉チェックAを用いて,ビリルビン(遊離型,抱合型),ヘモグロビン,乳びについて行った。
  4. 検出限界試験は低濃度患者試料にて生理食塩水で希釈系列を作製し,各試料を3重測定して行った。
  5. 相関性試験はPassing-Bablock regressionを用いた。
  6. 発色剤の安定性試験は島津UV-1600分光光度計を用い,波長405nmでの吸光度の経時的変動の有無を確認した。

【結果および考察】

  1. 同時再現性は平均値3.11,12.71,17.50,29.05nmol/min/mlでそれぞれCV=5.13,1.36,1.11,0.59%と良好な結果が得られた。
  2. 約28nmol/min/mlまでの直線性を確認した。
  3. 干渉物質の影響試験では遊離型ビリルビンは36.4mg/dl,抱合型ビリルビンは39.2mg/dl,溶血ヘモグロビンは920mg/dl,乳びはホルマジン濁度で4800までほとんど影響を認めなかった。
  4. 検出限界は±3SDで評価した。ブランクの平均値+3SDとオーバーラップしない試料濃度は用手法キットで3.20nmol/min/ml,自動分析法では1.47nmol/min/mlであった。
  5. 用手法キット(x)と本法(y)の相関はn=39でr=0.984と良好であり,回帰式はy=0.946x+0.705(95%信頼区間:傾き0.874?1.013,切片0.076?1.739)であった。
  6. 発色剤の安定性試験では調製後40日までほとんど吸光度の変動を認めなかった。
【結語】

本法は自動分析機に適用することにより,PAF-AHを簡便かつ精度良く測定できると考える。

    
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