血液浄化療法室診療の手引き
1.香川大学医学部附属病院血液浄化療法室にて施行可能な血液浄化法は以下の通りである。(尚、適応疾患、保険適応等につきましては成書をご参考ください)
| ・ 全血血液浄化療法 | |
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| ・ 血漿交換療法 | |
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| ・ 血液・血漿吸着療法 | |
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| ・ 腹水処理 | |
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2.血液浄化療法の依頼
@慢性維持透析ですでに人工透析を受けている症例の場合
手術、検査、治療目的のため本院で維持透析が必要な症例が入院予定されている場合は、入院前に血液浄化療法部病床の稼働状況を鑑みて、入院予定日の少なくとも1週間前までに、K-MINDから血液浄化申込をオーダし、血液浄化療法室、腎臓内科医局または腎臓内科医師に連絡する。その際、入院期間、見通し、手術日、検査予定日などを含めたプレゼンテーションを水曜日朝8時の血液浄化用法室カンファレンスで行ってもらう。やむを得ず欠席する場合には、事前に、腎臓内科医師に連絡し、治療状況や手術、検査、入院期間などの情報を伝えること。
担当科主治医
透析症例の状態を記載した血液浄化申込を、K-MINDよりオーダする
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血液浄化療法室(3772)、腎臓内科医局(2623)、または腎臓内科医師に連絡
↓
血液浄化療法を本院で施行中は、必ず血液浄化療法部カンファレンス(水曜日朝8時から)にて症例検討をする。
実施は、透析担当医が施行するが、全身状態が不良の時や緊急時には、主治医(もしくは代理の医師)が付き添うこととする
A急性腎不全の場合(維持透析でない場合)
急性腎不全には、腎前性、腎性、腎後性腎不全の3つに大別される。腎前性は、輸液や循環状態を改善するだけで透析が必要とならない場合も多い。同様に、腎後性腎不全も、尿管狭窄や尿閉による水腎症を腎ろうやWJステントの留置で速やかに改善する事が多い。そのために、腎不全の鑑別を要する。腎性腎不全は、随意尿の尿中Na、Cr、血中Na、Cr、の測定(検査部に依頼すると30分程度でわかる)から、分画ナトリウム排泄率(FENa)を算出し、1%未満なら輸液を負荷する。水腎症は、腹部エコーにて容易に診断できるので、透析をはじめとする血液浄化療法より先に泌尿器科にコンサルトすべきである。腎性腎不全では、うっ血の増悪、BUNやCr、Kの値の上昇によって緊急血液透析の適応になる。その際、循環動態の不安定な症例(術後、呼吸器の装着例など)は、循環管理の必要性から、ICUの急性血液浄化ユニッットでのCHDFを考慮すべきである。いずれにせよ、腎性腎不全発生の際には、なるべく早期に腎臓内科にコンサルトすべきである。
急性血液浄化療法が必要な症例が発生した場合、腎臓内科医師に直接依頼する。その際、外来診察依頼は行わなくてよい。依頼を受けた医師は、直ちに当該患者を診察し、必要と判断した場合、血液浄化療法を施行する。血液浄化療法の施行方法・施行日・施行場所は依頼した担当科主治医と透析医が協議し施行する。緊急性がない場合、透析室の空床状況によって待機する場合もあるが、医学的に緊急性のある場合は夜間・休日でも行うよう努める。だだし、その場合はスタッフが揃わない場合が想定されるので、事故のないように担当科、担当病棟より最大限の人的貢献をすることを確約すること。
B腹膜透析を施行中の場合
腹膜透析が継続できる場合には、病棟で腹膜透析を続けながら、検査・処置・手術を行う。腹膜透析液の交換は、本人ができない場合、主治医もしくは病棟看護師が行う。しかし、腹部手術や合併症により腹膜透析療法が継続できない場合には、Aの急性腎不全に準じた緊急血液透析を依頼する。腹膜透析に関わし、不明な点は、腎臓内科医師に適宜コンサルトすることとする。
C血漿交換など特殊血液浄化療法の場合
単純全血漿交換、DEPP、LDLアフェレシスなど特殊血液浄化療法も、K-MINDよりオーダする。療法自体は、非常に効果であるので、主治医科が責任を持ってその適応疾患のDPCを入力する。
3.血液浄化療法施行の実施場所
血液浄化療法は原則として人工透析室で行う。循環モニターは装備されているが、動脈ライン(Aライン)モニターは各担当科病棟より持ち込まないと実施不能の場合がある。加えて、人工透析室には酸素配管は完備されているが、圧縮空気は配管されていないので、人工呼吸器が装着されている症例には施行不能である。Tピース、簡易人工呼吸器の場合には施行可能であるが、その他の透析症例も同時に透析するので急変時の対応等を考慮すると、血液浄化療法室での施行は好ましいとは言いがたい。それゆえ、病棟での施行となるのであらかじめ急変が予想される場合には厳格なコントロールができるICU等にもコンサルトし、持続的血液濾過透析(CHDF)の適応についても検討すべきである。
4.腎不全症例・血液浄化療法コンサルトの仕方
腎機能低下(腎機能低下時の薬剤投与法、輸液・栄養管理の助言も含む)、電解質異常、血圧管理などについてコンサルトを希望する場合、主に腎臓内科新患予約枠(毎日午後)を受診する。状態が悪く往診が必要な場合は、「往診依頼」と明記すること。急性血液浄化療法の依頼の場合には緊急のことも多く電話等のコンサルトでも可能であるが、前述のように血液浄化申込を必ず記載しオーダすること。
5.血液浄化療法施行の実際
血液浄化療法を施行する場合、腎臓内科の医師が血液浄化を実施する。尚、症例が感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、MRSAなど)を有する場合は事前に周知し、極力隔離できるように努める。ダブル・ルーメン・カテーテル等でブラッド・アクセスを確保する際は、病棟で主治医が確保後、血液浄化療法室に入室していただく。担当科でブラッド・アクセスが確保できない場合は、事前にコンサルトを行い主治医あるいは看護師が補助者になって透析担当医がブラッド・アクセスを確保する。この際、主治医が技能取得のために指導を希望すれば、主治医のブラッド・アクセス挿入を指導することも可能である。ブラッド・アクセスの種類、挿入血管、カテーテルの選択、管理等については、症例によって異なるので、事前に透析担当医と相談すること。原則として、鎖骨下静脈は血栓症の危険性が高いため現在は特殊な場合を除いては、ブラッド・アクセスには用いない。
血液浄化法施行中は「透析経過記録」に経過を記録する。記録は主治医・看護師・透析医が責任をもって行う。
6.ブラッド・アクセスの確保と維持
維持血液透析を受けている症例の場合、通常内シャントが作成されているので、病棟における採血、同部での血圧測定は原則として行わないこと。また、非透析日においても急性閉塞の危険性があるので、一日一回は必ず内シャント部の診察・聴診を行い、出血、スリルの減弱、閉塞等に注意を払うこと。急性閉塞であればPTA等によって再開通の可能性が高いので、すぐに透析担当医にコンサルトすること。
急性血液浄化療法等を施行予定で内シャントのない症例では、患者のADLに合わせてブラッド・アクセスを確保する必要がある。ブラッド・アクセス確保部位は右内頚静脈が好ましいが、困難な場合は右大腿静脈→左大腿静脈→右鎖骨下静脈の順で試みる。前述のように、鎖骨下静脈へのブラッド・アクセス確保は鎖骨下静脈血栓症や気胸の合併など危険性が高いため、推奨されていないが挿入の際には危険性・合併症について充分なインフォームド・コンセントを行うこと。
現在、緊急透析・血漿交換・血漿吸着等の急性血液浄化を施行する際のブラッド・アクセスはダブル・ルーメン・カテーテルを用いることが多い。血液浄化終了後は血栓防止のためヘパリン・ロックを用いる方法がある。ヘパリン・ロックは透析日に施行している。尚、ブラッド・アクセス確保の際に必要なものに関しては、症例によってケース・バイ・ケースなのでその都度透析施行医の指示を仰ぐこと。刺入部の消毒は、週1回血液浄化療法室にて行うが、汚染時などは病棟で施行のこと。
7.血液浄化療法施行中・施行後の注意点、確認事項
@ カテーテル挿入部の出血の有無
A 歯肉出血、便潜血の有無
B 血圧の低下あるいは上昇
C 心不全徴候の有無(血液吸着後の返血でうっ血性心不全を生じることがある)
D 長期間留置の場合、刺入部感染に注意する。感染徴候が認められた場合は早期に抜去し、カテ先培養を行う。
E 長期留置カテーテル抜去後は出血しやすいので、圧迫止血を確実に行う。
F 血漿吸着、二重膜濾過血漿交換(DFPP)、クライオフィルトレーションは血漿タンパクの喪失から、カテーテル抜去時に出血しやすく止血困難な場合も多い。その際には、透析施行医と相談し新鮮凍結血漿(FFP)を補充する。
G 免疫吸着や二重膜濾過血漿交換(DFPP)では血液中の病因γ−グロブリン分画を中心に除去する療法であるので、易感染性に陥りやすく感染症に対する懸念を常に持ちつづけるべきである。特に、カテーテルによるライン感染はすぐに菌血症や敗血症に結びつくので、感染徴候が見られたら直ちにカテーテル抜去やγ−グロブリン製剤の投与を行うべきである。
H ヘパリンを用いた血液浄化療法施行直後は原則として観血的処置は行わない。観血的処置を行う場合や出血傾向(特に胃潰瘍などの合併)のある症例についてはメシル酸ナファモスタット(フサン)を用いる。
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