接触性皮膚炎

医学科2年次生  解剖実習における接触性皮膚炎 

 秋になると,少数ではありますが,手指のかぶれを訴え保健管理センターに訪れる学生が現れます.症状は,保健管理センターでリンデロンVG軟膏を塗布するとすっかり治ってしまう軽症から,皮膚科を受診する必要のある学生までさまざまです.皮膚科を受診した学生につけられる診断名は「接触性皮膚炎」です.これらの学生に共通していることは,解剖実習中の医学科2年生であるということです.このことから,原因はホルマリンによるものではないかと考えています.そこで,化学物質過敏症(ホルマリン=ホルムアルデヒド)の症状と予防について調べたことをお話ししましょう.

化学物質過敏症の症状と予防

原因物質  接触性皮膚炎  生活指導

 化学物質過敏症を来す原因物質

 化学物質過敏症は1989年,アメリカのエール大学のカレン(Cullen)教授によって、次のように定義付けられています.「かなり大量の化学物質に接触した後,または微量な化学物質に長期に接触した後で,非常に微量な化学物質に再接触した場合に出てくる不愉快な症状である」.見られる症状は実にさまざまで,一般的なものとしては目の痛みや頭痛などの神経症状、息切れや動悸といった呼吸・循環器系の症状,さらには下痢や便秘など消化器症状です.特徴的なのはこれらの諸症状がいっせいに出てくるところにあります.
 原因物質としてよく知られているのは,合板や壁紙,そしてそれの接着剤に含まれるホルムアルデヒドです.このような建築資材に用いられている化学物質としては,このほかに有機リン系化学物質,有機溶媒,フタル酸化合物,有機塩素化合物などが知られています.このなかには,白蟻駆除剤やダニ用の防虫剤なども含まれます

ホルムアルデヒドによる接触皮膚炎  

 ホルムアルデヒドは,目や喉を刺激し,濃度が高くなると呼吸困難も引き起こすなどの症状を呈します.皮膚科領域では接触皮膚炎がよく知られています.それが顕著に見られたのは,ホルムアルデヒドがかつて衣料の柔軟防止しわ加工剤として広く用いられていたときのことでした.その後,75年からの使用規制で,衣料による接触皮膚炎は事実上なくなりました.しかし,室内に浮遊するホルムアルデヒドによる顔面を中心にした毛包性湿疹の形をとる接触皮膚炎は,今なお散見されています.

予防のための生活指導  

 最近ではホルムアルデヒドなど,有毒な化学物質の規制もなされてきましたが,化学物質過敏症は,個々人の感受性や体質によって,完全な防止は不可能だとも言われています.
 解剖実習中にみなさんができる予防策としては,室内空気の恒常的な正常化を図ること.またホルムアルデヒドは,水に溶けやすく衣類に吸着しやすい性質があることから,衣類をよく洗濯し,常に清潔に保っておくこと.実習の前後によく手を洗うこと.なお,少しでもその疑いがあるようであれば,専門医への受診することです.

接触性皮膚炎 アンプルカット時の受傷