救命救急センターには脳神経外科から専従医として専門医2人と若手脳神経外科医1人を派遣しており、脳卒中急性期や重症頭部外傷の緊急手術およびその後の神経集中治療を中心に診療活動を行っています。その他、多発外傷、心停止後症候群などにおいても治療の中心的役割を担っております。毎年約70例前後の脳外科手術(脳血管内手術も含め)を行いながら、急性薬物中毒、重症熱傷、CPAなど救命救急センターならではの症例の診療にも参加し、充実した日々を送っています。

 特に若い脳神経外科医にとっては基本であり、もっとも大切な脳圧管理、呼吸・循環管理が身をもって経験できる部署だと思います。脳圧管理を中心とした神経集中治療は、救命救急センター長である黒田教授を筆頭に、救命救急センターの得意分野でもあります。救急患者が来ると精鋭部隊があっというまに取り囲み、様々な神経モニタリング装置を装着し、完全武装で治療に臨みます。みなさん脳神経外科医を目指そうと思ったきっかけは、脳の疾患で命を落としそうな人を劇的に救命したいと思ったからだと思います。救命救急センタースタッフと一緒に劇的な救命劇を演じましょう。

取得可能な専門医;救急専門医、集中治療専門医など







 救命救急センターでは重症脳損傷疾患(頭部外傷や脳血管障害、心停止後症候群)に対し、積極的に低体温療法を行っています。低体温療法は、深部体温を32〜34℃まで低下させ、脳の代謝を下げることにより脳保護を行い、二次的な脳損傷を最小限に抑える治療です。一般的には1℃の脳温の下降で約7%の脳代謝が低下するとされています。心停止後症候群に対する低体温療法の有効性は世界的に認められ、標準的な治療となりつつあります。重症頭部外傷に対する低体温療法は、米国の大規模比較試験で有効性が認められなかったために下火になりつつありますが、従来であれば救命さえ困難であった患者様が劇的に改善した症例も経験しており、症例を選択して有効性を追及していきたいと考えています。最近はTargeted temperature management (TTM)という概念が出てきており、治療対象に応じて目標体温を設定し、全身管理を行う神経集中治療が始まっています。これらの治療は、あらゆる施設が一朝一夕にできるものではありません。最新の医療機器、十分な設備の整った集中治療室、なんといってもあらゆるノウハウを持ち得た経験豊富なスタッフがすべてそろって安全に行える治療法です。

低体温療法の脳代謝抑制効果を確認する目的で、低体温療法中の脳ブドウ糖代謝を陽電子放射断層撮影法(PET)にて測定し、低体温療法終了後のブドウ糖代謝と比較検討しています。その結果、34℃前後の低体温療法により脳ブドウ糖代謝は50%以上抑制されることが明らかとなりました。この結果は、低体温療法の有効性を示す重要なデータの一つとなっています。
また最近では、最新の血管内体温コントロール装置(図)を用いて、熱中症に対する急速冷却法や、多発外傷患者に対する積極的加温療法など積極的な体温管理の適応疾患を広げるべく、日々臨床研究を行っています。