頭蓋咽頭腫とは、下垂体と脳をつなぐ下垂体茎に発生する良性腫瘍で、小児期から大人まで全年齢層にみられますが、本腫瘍の約20%は15歳未満の小児期に発生します。頻度としては、原発性脳腫瘍の約3%、小児期脳腫瘍の約9%を占めるといわれています。



症状は、以下のものがあります。

@視力視野障害:腫瘍が上方へ進展し、視神経を下から圧迫することにより生じます。典型的には、両耳側半盲(視野の耳側半分が欠損)となりますが、不規則な視野欠損を示すこともあります。

A下垂体機能低下:下垂体から分泌される各種ホルモンの分泌不全により症状を呈します。小児では低身長、二次性徴の遅れ・欠如、成人では生理不順や甲状腺機能低下、副腎不全(倦怠感、易疲労感、発熱)などの症状で見つかることがあります。

B頭蓋内圧亢進症状:腫瘍が大きくなると脳脊髄液の還流が妨げられ、水頭症を生じることがあります。頭痛、嘔気、歩行障害などの症状が現れます。

C視床下部障害:低体温、意識障害、尿崩症などが生じます。



診断には頭蓋骨単純X線撮影や頭部CT検査、頭部MRI検査を用います。また、視力視野障害の評価のため眼科的な精査、およびホルモン分泌不全の評価のため内分泌学的な精査も必要となります。

   



治療の第一選択は、手術による全摘出です。手術は主に開頭による顕微鏡手術が行います。本腫瘍では、周辺の正常脳組織や重要神経組織との癒着が強いことも多く、その場合、全摘出は困難であり放射線治療・定位放射線治療などを追加します。
手術による合併症としては、ホルモン欠乏症状(尿崩症や性腺ホルモン/成長ホルモンの低下)があり、ホルモン補充療法を行います。また視野障害、記憶障害、意識障害、麻痺などの重篤な合併症が5〜10%の危険性で発症します。放射線治療の場合は、そのような合併症はすぐには生じませんが、遅発性の合併症として視力低下、記憶障害、知能低下等が生じる可能性があります。
組織学的には良性腫瘍ではありますが再発の多い腫瘍であり、長期にわたり綿密な経過観察・補充療法が必須です。