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関節痛
四国新聞「健康面
【関節の病気】・・・高齢化社会を背景に
香川医科大学整形外科    森 諭史      
 
  日本人の平均寿命は今年女性が85歳を越えました。百歳以上が2万人、75歳以上の後期高齢者は一千万人を突破しました。65歳以上の人口は2363万人で全人口の18.5%を占め、2050年には35.7%に達する見込みです。  今まさに高齢化社会が到来しています。長生きできるようになるのは良いことですが、高齢化社会は年金、健康保険、介護などの問題もかかえています。でもこれらの問題の多くは元気な高齢者が増えることで解決の方向へと導かせることができます。image

 1980年に65歳以上の労働人口の割合は全体の4.9%だったのが、昨年には7.3%となり元気な高齢者が増える一方で、寝たきりは1993年には90万人だったのが、2000年には120万人と増加しています。寝たきりになるか、生涯現役を通せるかは個人にとっても社会にとっても大きな問題です。

 寝たきり原因の第1位は脳卒中であるのは数10年前から変わりませんが、第2位の骨折、関節疾患はこの10年で急激に増加し脳卒中に近づいています。整形外科を受診される患者さんで一番多い訴えが腰痛、次が関節痛です。腰痛、関節痛は一生涯動き続けなければならない人間の宿命ともいえます。人の体を車にたとえると心臓がエンジン、神経が電気系統、骨や関節などの運動器は足回りということになります。車はエンジンの性能がいくimageら良くなってもタイヤは擦り減るので交換が必要になります。同様に人の体も長生きするほど骨や関節の調子が悪くなるのはもっともです。運動器の障害は高齢になるほど寝たきりに直結するが特徴です。骨や関節疾患は高齢者の大敵なのです。

 関節の病気には変形性関節症、関節リウマチをはじめ膝内障、偽痛風などがたくさんあります。病気により痛みが出る関節、痛む時、痛み方が異なります。例えば関節リウマチの場合、中年女性の発症が多く、最初に痛む関節は手足指の関節が多く、腫れをともないます。痛みや腫れる関節は1カ所にとどまらず時期により移動するのが特徴で、数ヶ月後に反対の手足に現れたりします。痛みの性状は朝のこわばりと言って起床時がもっともきつく、時間が経つにつれて楽になります。時期的にも悪くなったり、ほとんど症状がなくなったりさまざまな経過をたどります。リウマチの血液検査もありますが、それだけでは診断の決め手にはなりません。一度壊れた関節を完全に修復する技術は今のところまだ確立されていません。

 関節リウマチは早期に診断して早くから治療を開始し、病気の勢いを薬で上手にコントロールすることが肝心です。病気のことをよく理解し、病気が悪化しないように日常生活をコントロールする方法を体得することが肝心です。この一年で何カ所も関節が痛んだり腫れるといった症状のある方は一度リウマチの専門医にご相談下さい。

 

第2話
変形性関節症
香川大学医学部整形外科  森 諭史
 
  今回は関節痛の原因として最も多い変形性関節症についてお話します。変形性関節症は関節の使いすぎや炎症などの原因で関節軟骨が擦り減る病気で、加齢性変化が基盤となっています。症状の有無は別にしてレントゲン写真では成人の半分以上に75歳以上では80%の人の関節に変形症性変化を認めます。この変化は体重がかかる背骨や膝、股関節など下半身の関節に現れやすく中高年の女性に多い。スポーツ選手や肉体労働をする人にも好発します。全身的には肥満、性ホルモンが軟骨の加齢を促進すると考えられていますが、決定的な証拠はありません。局所的には関節への圧迫や摩擦が異常に増加した状態で軟骨が傷害されます。image


 変形性関節症が最も多い関節は膝です。最初の症状は長歩きや階段の上がり下りをした時やその後に痛みがでます。最近、正座ができなくなった人も要注意です。変形性関節症は痛みが良くなったり悪くなったりを繰り返しながら少しずつ進行していくのが特徴です。関節に水が貯まると膝が腫れて強く痛むこともあります。膝の中で炎症が起きているので、まず歩くのを最小限にして関節を休ませて下さい。整形外科で関節の水を抜いてもらうと楽になります。消炎鎮痛剤を服用したり、関節軟骨の栄養、潤滑剤を関節に注射する方法、履き物に足底板をつける方法もあります。軟骨を服用する方法は効くという確かな証拠はありません。

 治療の基本は日常生活のコントロールです。まず体重をコントロールしましょう。それには運動が大切ですが、関節に体重の負荷をかけず筋力を鍛える運動が有効です。散歩をするのなら自転車で、重い物は持たないようimageにしましょう。時間のある方はプールでの運動がお勧めですが、時間のない人には毎日どこでもできる運動を紹介します。

 椅子に座り、膝を伸ばして足の上げ下げを繰り返しましょう。馴れれば足首に適当な重りをつけて挑戦して下さい。急に激しい運動をすると関節の調子が悪くなるので毎日少しずつ筋力をつけるように心がけましょう。無理をして膝痛が悪化すると、運動が続けられなくなり筋力がまた衰えてしまいます。膝の痛みを出さずに活動的に生活する自分なりのリズムを身につけましょう。
 変形性股関節症は膝ほど多くないのですが、関節の帽子となる骨盤の臼蓋が浅い(臼蓋形成不全)のが原因です。アジア系の女性に多く最も重症なのが先天性股関節脱臼です。変形性股関節症の痛みは足の付け根に現れますが腰痛と間違えられることが多いので注意しましょう。

 痛みだす時期はその程度によって異なりますが、20歳前から痛み出す人もいます。歩いた後に足の付け根が重くなる方は一度整形外科にご相談下さい。日常生活での対処法は膝の場合とほぼ同じで、荷重運動を避けながら筋力を落とさないようにすることです。股関節の回りの筋力を鍛えるには仰向けに寝て足の前上げしたり、横向きに寝て横上げする運動がよいでしょう。

 
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