はじめに

笑ったり、くしゃみをした瞬間、「しまった!」と思った経験はありませんか?40歳以上の女性の3人に1人は何らかの尿失禁(いわゆる尿漏れ)があるという報告もあるほどよくある症状ですが、泌尿器科は女性にとって特に受診しづらい科とされ、誰にも相談できず人知れず悩んでいる人も少なくありません。尿失禁は恥ずかしいことではありません。女性泌尿器科では女性患者さんのQOL(quality of life:生活の質)の向上を目指しています。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

主な疾患

1.過活動膀胱

2.尿失禁(切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁)

3.骨盤臓器脱

4.間質性膀胱炎

過活動膀胱

尿意切迫感」「頻尿」「切迫性尿失禁」などの症状がみられる症状症候群のことを言います。加齢や骨盤底の脆弱化が過活動膀胱に関係すると言われていますが、過活動膀胱の原因として最も多いものは特発性です。問診のみで診断可能で、主に過活動膀胱症状質問票(overactive bladder symptom score:OABSS)を用いています。治療は、主に膀胱の興奮性を抑える薬剤を使用します。状況に応じて、水分制限やカフェイン制限などの生活指導も行います。間質性膀胱炎

切迫性尿失禁

前ぶれなく急に尿意が高まり、トイレに間に合わないという尿漏れがこのタイプです。状態を同じくする過活動膀胱に準じて治療を行います。

腹圧性尿失禁

思い切り笑ったとき、くしゃみをしたとき、階段の上り下りのとき、走ったりジャンプしたときなど、お腹に圧力がかかったときに尿漏れを起こします。

骨盤底筋群の脆弱化が原因で、出産回数の多い人や、高齢出産、鉗子分娩(かんしぶんべん)や会陰切開(えいんせっかい)などでトラブルがあった人、肥満や便秘などで常に腹圧がかかる人は腹圧性尿失禁の起こるリスクが高くなります。

治療は、肥満や便秘を防止する生活指導、骨盤底筋体操、干渉低周波治療、外科的手術(TVT手術、TOT手術)が中心になります。患者さんの状態や希望に合わせて、適切な治療を選択します。

 

《骨盤底体操》

①肛門を締める(おならを我慢するようなイメージで)ことを、早く締める×5回、ゆっくり締める×5回

 以上を1セットとして、10セット連続で行う。

②慣れてきたら、肛門だけでなく膣や尿道周囲も意識して締めるように行う。

《干渉低周波治療》

骨盤内臓器脱

腹圧性尿失禁のほかにも骨盤底筋群の脆弱化によって起こる病気に、骨盤臓器脱があります。膀胱や子宮、直腸が下にさがって膣から外に飛び出すもので、膀胱が下がると「膀胱瘤(りゅう)」、子宮が飛び出したものは「子宮脱」、直腸が下がると「直腸瘤」と呼ばれます。

夜お風呂に入っているときに、会陰部にピンポン玉のような異物に触れることがあります。また重力によって悪化しますので、朝はなんともなくても、一日活動した夕方に股のあたりに何かが挟まっているような違和感があることもあります。尿や便の出が悪くなったり、尿漏れなどの原因にもなります。

保存的治療として、ペッサリーを膣内に挿入する方法があります。ペッサリーは定期的な交換が必要で、産婦人科でのフォローとなります。外科的治療として以前は子宮摘出+膣壁縫縮術を行っていましたが、再発率が高く問題のない子宮を摘出することがデメリットとなっていました。最近では再発率が低く子宮温存が可能で低侵襲のメッシュによる手術(TVM手術)が普及しています。患者さんの状態に合わせて治療法を決めていきます。

 

女性泌尿器疾患

 

 

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