腎細胞がんとは

腎臓にできる腫瘍の大半は悪性で腎細胞がんと呼ばれます。発生頻度は人口10万人あたり男性8.2人、女性3.7人と約2.7:1で男性に多い傾向があります。

以前は血尿や腹部の腫瘤、痛みなどの症状をきっかけに見つかることが多かったのですが、近年はエコーやCTなどの画像診断機器の進歩により、健康診断や他疾患の検査中に無症状のまま見つかることがほとんどです。多くの他のがんと同様に、腎細胞がんも早期に発見された場合には根治が可能です。

腎細胞がんは組織学的には6種類に分けられます。VHL遺伝子などの遺伝子異常により家系内発生が見られるものもあります。 また、長期間透析療法を受けている方は、一般の方に比べ約9倍の腎細胞がんの発症リスクがあるといわれています。

エコー、CT、MRIおよびPET(Positron Emission Tomography;陽電子放射断層撮影)などの検査を組み合わせることによって、悪性度や進行度を検査していきます。

 

香川大学泌尿器科では早期腎細胞がんに対しては患者さまに対する負担を減らすべく、腹腔鏡による低侵襲手術を積極的に行っています。また、進行腎細胞がんに対し有効とされる分子標的治療薬の豊富な使用経験を有しており、国内外の治験にも積極的に参加し腎細胞がん治療の発展に寄与しております。

治療方法

1.手術治療

当院では腹腔鏡手術を2002年から導入しております。2009年以降では腎細胞がんに対する腎摘除術(部分切除を含む)を受けた患者さんのうち、8割近くの方が腹腔鏡手術にて治療を受けています。さらに片方の腎臓を全部摘出することで将来的に腎機能障害を発症する危険性があることが問題となってきています。そこでわれわれは小さい腎細胞がんの方には可能な限り腫瘍のみを摘出する腎部分切除術を行うようにしています。

 

《どのようなひとが対象になりますか》

腎細胞がんは、転移巣があっても原発巣(腎がんそのもの)を摘出することで、予後が延長することが知られています(J Urol 2004, N Engl J Med 2001, Lancet 2001)。体力があり、摘出可能と判断された患者さんには手術治療により腫瘍の摘出を行います。

また、転移巣に対しても、手術にて取りきれる場合には、摘出手術を行うことがあります。

 

《副作用にどのようなものがありますか》

痛み、創部感染、出血、他臓器損傷、創部ヘルニア、深部静脈血栓症のほか、腹腔鏡手術独特なものにガス塞栓症や放散痛(術後に首や肩が痛くなる)があります。創部の痛みについては、腹腔鏡手術を行うことで、以前よりはるかに軽減されるようになりました。

 

《どれくらいの期間入院が必要ですか》

早期の腎細胞がんの場合、10日から2週間程度で退院することが出来ます。

 

《治療後はどのような事に注意が必要ですか》

腎細胞がんには有効な腫瘍マーカー(血液検査)がないことから、定期的にCTなどの画像検査にて再発のチェックが必要となります。

 

2.分子標的治療薬

2006年より日本でも分子標的薬による腎細胞がんの治療が出来るようになりました。従来の抗がん剤を用いた化学療法は正常な細胞も障害し、骨髄抑制や脱毛、下痢といった副作用がみられていました。分子標的薬は、癌の増殖シグナルを分子レベルで狙い撃ちすることで効率的にがん細胞へ作用することができ、正常細胞への影響を少なくすることができます。 経口薬としてスニチニブ、ソラフェニブ、エベロリムスがあり、注射薬にテムシロリムスがあります。腫瘍の組織型や病状に応じて、投与する薬剤を決めていきます。

 

《どのようなひとが対象になりますか》

原発巣(腎細胞がんそのもの)や転移巣が手術治療で取りきれない患者さんが対象になります。進行性腎細胞がんに対しては、免疫療法に代わり、第一選択として用いられるようになってきています。

 

《副作用にどのようなものがありますか》

これまでの抗癌剤とは異なった副作用がみられるようになりました。手足症候群 発疹、口内炎、間質性肺炎、高血圧、心機能障害、甲状腺機能低下、骨髄抑制、感染症、高血糖、脂質異常、腎不全、アレルギー、下痢、疲労感、食欲不振などがみられることがあります。

 

《どれくらいの期間入院が必要ですか》

導入初期に副作用に対応し、用量を調整するために1~2カ月程度入院していただきます。状態が安定すれば、通院で治療することが出来るようになります。

 

《治療中はどのような事に注意が必要ですか》

(ソラフェニブ・スニチニブ)

手足症候群の予防のためにはスキンケアが重要です。重いものを持たないようしたり、硬い靴を履かないようにする工夫も必要です。当院では手足症候群の副作用に熟知した看護師によるオリエンテーションを受けることが出来ます。

スニチニブ投与中の方には高血圧や甲状腺機能低下が見られることがあります。自宅での血圧がとても高くなったり、疲れやすさ、寒がり、動作緩慢、記憶力低下、声のかすれといった症状が見られる場合には、早めに来院して頂く必要があります。

 

(トーリセル、アフィニトール)

免疫力の低下からB型肝炎や帯状疱疹の再燃が見られる事があります。これらの疾患にかかったことがある方は、現在治っていても医師や看護師に伝えてください。

間質性肺炎では息苦しさ、空咳などの症状が見られ、減量・休薬が必要になる事があります。時に重篤な状態になることもあり、早めに医師に相談してください。

口内炎は口の中を清潔に保つ(歯磨き)、口の中の保湿(うがい、スプレー型保湿剤、ジェル型保湿剤)で予防することが出来ます。また、当院では歯科口腔外科と連携し、分子標的療法の初期からケアをするようにしています。

 

3.免疫療法

インターフェロンやインターロイキン2等の薬剤を注射して治療します。治療の奏功率は15~20%程度とされています。インターフェロンは週2~3回、インターロイキンは週2回程度注射剤を投与します。インターフェロンは手技をマスターすれば、自宅にて自己注射が可能であり、通院の負担を軽減することが可能です。

 

《どのようなひとが対象になりますか》

原発巣や転移巣が手術治療で取りきれない患者さんが対象になります。以前は進行腎細胞がん治療の第一選択でしたが、現在は分子標的治療薬が投与出来ない患者さんや、肺転移巣単独の患者さんなどに投与が行われるようになっています。

 

《どのような副作用がありますか》

発熱 、アレルギー症状、倦怠感、抑うつ症状、呼吸器症状、糖尿病甲状腺機能異常、眼の症状、出血傾向、脱毛、(注射部の)皮膚潰瘍、皮膚壊死など

 

《どれくらいの期間入院が必要ですか》

導入初期には副作用に対応するため、1カ月程度入院していただきます。状態が安定すれば、通院で治療することが出来るようになります。

 

《治療中はどのような事に注意が必要ですか》

インターフェロンを投与された方の中にうつ症状が見られることがあります。気持ちが落ち込んで優れない場合には、早めにご相談ください。

 

 

腎細胞がん

 

 

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