いい手術とは?

手術に望まれるもの、つまりいい手術とはどういうものでしょうか?それはもちろん正確であることです。その上さらに体への負担が少なければ少ないほど理想的であるといえるでしょう。術後の疼痛が少なく社会復帰も早い、そのような低侵襲手術が望まれるのは当然のことです。その代表的なものが腹腔鏡手術です。以前はお腹を切っていたような手術もいくつかの小さな穴をあけるだけ手術をすることが出来るようになり、現在では広く普及しています。われわれの泌尿器科でも、代表的な手術の8割以上をこの腹腔鏡手術で行っています。しかしこの腹腔鏡手術では視野がある程度制限される、あるいは手術道具(鉗子類)の動きの自由度が低いなどといった、どうしても技術だけではカバーしきれない弱点があります。

そこで登場したのがこれらの腹腔鏡手術の欠点を補い、手術の正確性と低侵襲性を高いレベルで実現させているロボット手術、ダヴィンチサージカルシステムです。

 

ロボット手術とは?

ロボット手術とはロボットアームという器械の腕を用いて腹腔鏡手術を行うものです。ロボット手術といってもロボットが行うのではなく、あくまで人間がロボットアームを操作して手術を行います。つまり術者の動きはロボットアームを通して、狭い体内で精密に再現されるのです。そのためこの手術は正確には「ロボット支援手術」と呼ばれます。

 

ロボット手術の長所

高解像度3次元立体画像

明るく拡大された画面で、通常の開腹手術では決して見ることの出来ない理想的な角度で術野を観察・展開することが出来ます。通常の腹腔鏡手術では2次元の画像を見ながら手術操作を行っていました。一方、このロボット手術では3次元画像を使用することで奥行きを感じながら手術を行うことが出来ます。どちらがより正確で安全な手術が行えるか?これは較べるまでもありません。

 

まるで自分の手のような自然な操作感

ロボット手術では術者の指の動きを正確に再現するために特殊な道具を使います。自由な動きを可能にするための可動する箇所が多い多関節の器具です。これによってまるで自分の手のように、いや自分の手以上に自由に操作ができます。さらにロボットアームは3本ありますので、人の手よりも1本多い分格段に操作性が高まります。

 

手の震えを吸収してより緻密な操作が可能

人の手は生理的振戦といって必ずわずかに震えます。いわゆる"手ぶれ"です。細かな作業の際にはこのわずかな震えが障害になることがあります。ロボットはこのわずかな震えを吸収してくれるためより繊細な作業が可能となります。今までどうしようもなかった、人の手であるが故の欠点をカバーしてくれます。これもロボット手術の大きな長所の一つです。

 

術者の負担も軽減

手術を行う医師はサージョンコンソールと呼ばれる器械の前に座り、患者に触れることなく遠隔操作で手術を行います。今までのように立ちっぱなしで無理な姿勢を長時間強いられることがないため、このロボット手術は患者のみならず医師の負担も大きく軽減してくれます。これも手術の質を高める大きな要素の一つでしょう。

 

このようにロボット手術には様々な長所があります。それらはすなわち手術時の出血量を減らし、手術の副作用軽減や術後の機能回復に有利に働きます。

 

どのような手術に使われるか?

現在わが国では2012年4月より前立腺がん手術にのみ保険適応となっております。ロボット先進国のアメリカではすでに前立腺がん手術の8割以上がロボット手術になっています。さらにロボット手術は前立腺がんのみならず腎臓、膀胱、胃、大腸、心臓血管、子宮の手術でも有用であることはわかっています。残念ながら現段階では前立腺がん以外の手術は保険外で行うしかありません。しかし今後はわが国でも保険適応が拡大されることでしょう。

 

今回、香川大学でもロボット手術が可能になり患者さんに多大な恩恵をもたらすものと確信しております。われわれも皆様にご満足いただけますよう日々精進して参りますのでよろしくお願いいたします。

 

(香川大学医学部付属病院 病院NEWS No.350 より引用)

 

 

ロボット手術

 

 

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