国際交流理念・指針

Our Policies

The link is here

香川大学医学部新国際交流指針

香川大学では、平成28年4月より、第3期中期目標・中期計画が始まり、その中で「国際化」が重要な施策のひとつとなっています。
香川大学医学部では、平成21年度に国際交流指針を設け、その後少しずつ調整を加えながら、基本的には以下の理念と方策に基づいて、国際交流活動を展開しています。

国際交流の目的(理念)

現在の医学部の基本理念は次のとおりです。
1.  世界に通ずる医学、看護学及び臨床心理学の教育研究を目指す。
2.  人間性の豊かな医療人及び心理援助者、並びに医学、看護学及び臨床心理学の研究者を養成する。
3.  医学、看護学及び臨床心理学の進歩並びに人類の福祉に貢献すると共に地域の医療及び心理援助の充実発展に寄与する。

国際交流活動は、上記理念を実現する有効な方法のひとつとして位置付けられている。
従って、香川大学医学部の国際交流の目的(理念)を次のように定める。

国際交流をとおして、グローバルスタンダードを有した「学生」「医師」「看護師」
「心理援助者」「研究者」の育成を行うとともに、人類の福祉や地域への貢献を行う。

この理念を実現するために、行動目標と方策を以下のように策定しました。

国際交流の行動目標(6つのC)

1.焦点を絞った重点的な交流活動を行う=Concentration
数多くの交流校と浅く交流するのではなく、焦点を絞って交流活動を集中する。これはこれまでの活動方針を継続するものであり、数より質の姿勢を継続して貫いていく。その一方で教育研究のグローバル化が進む中で、香川大学医学部においても、多様な国際交流・国際貢献活動が展開されるようになった。こうした活動においては、交流校との協定締結あるいはそれに準ずる合意書を締結し、医学部公認の活動として実施することが重要である。国費留学生などの奨学金の獲得、各種研修事業や国際共同研究の助成金などの獲得にも、協定(合意書)の存在が必要になっている。従って、数より質の姿勢は貫きつつも、実質的で継続的な活動が期待できる交流校とは積極的に協定(合意書)締結を目指す。協定(合意書)は、通常5年で更新されるが、その際に実績や次の5年間の展開可能性を評価し、継続・廃止を決定する。各交流校を複数の国際交流委員等が担当するコーディネーター制を十分に活かして、交流校と密な連携を取り、さまざまな活動を行っていく。

2.点でなく線で結べる交流に持って行く=Connection
個々の大学との交流を集中的に進めることに加えて、複数の交流先の大学を戦略的に連携していくことが大切である。香川大学医学部は、以下の2ラインを意識して協定校を展開しており、今後もこの方針を維持する。香川大学全学としては、ASEAN諸国+中国・韓国・台湾の大学や研究機関との交流を重点的に展開することを方針として決めている。その方針は医学部の戦略とも合致するので、これを意識しながら進める。
○ASEAN諸国および東アジア諸国との関係のラインを強化する→ASEAN諸国および東アジア諸国との交流においてイニシアティブが取れる存在になる。
○英国圏の諸国との関係のラインを強化する→Common Wealth Countriesとの関係で香川大学医学部の存在を示す。

3.拠点交流先を核としたコンソーシアムを形成する=Consortium
国内・海外において複数の大学とコンソーシアムを作ることが重要である。
例えば、チェンマイ大学との交流では、香川大学の拠点大学と定め複数の学部が参加している。そして、同大学を核としてタイ国内の他大学との連携や、周辺諸国(CLMV諸国)のミャンマー、ベトナム、カンボジアなどの主要大学との連携を推進していく。
またブルネイ・ダルサラーム大学を核としてフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどの主要大学との連携を図ることを目指している。このようなコンソーシアムの構築により、主たる活動を核となる大学と行うことで、香川大学医学部の交流方針に基づき、コンソーシアムに参加する大学へと連携を波及することが可能である。Human resourcesの確保や、varietyに富む選択肢を作ることが可能である。

4.政府機関等と協同したプロジェクトを展開する=Cooperation
国際交流活動を個人あるいは一組織レベルで細々とやるのではなく、医学部国際交流委員会が医学部の交流戦略を掲げて、日本国外務省、各国大使館、JICA, JST, JSPSなどと密接な連携を取り実施する。そして競争的資金獲得のための下地を作り、各種の競争的プロジェクトを獲得すること必要である。
ブルネイ・ダルサラーム国大使館、タイ国大使館、チェンマイ総領事館、カンボジア大使館など各国の大使館・領事館や、JICA, JST, JSPSなどとの連携を深めつつある。また文部科学省、外務省、厚生労働省、総務省などとも積極的に協同していく。

5.コミュニティとのネットワーク作りを強化する= Community-based
○香川県、三木町、各種交流団体、NGO/NPO団体、学生組織との連携
地域のコミュニティとのネットワーク作りは非常に大切である。医学部はカルガリー大学医学部との交流を介して三木町と非常に密な連携を取り、現在三木町が姉妹町付き合いをしているディズベリー町を紹介し、三木町の中学生のホームステイ訪問が継続している。
こうした地域自治体との連携により、地域貢献として大学の国際交流が果たす役割が明確化になる。香川県国際課(香川県の姉妹都市の大学との交流)、県下の交流団体、NGO/NPO団体との連携も重要である。例えば留学生の語学研修やホームステイなどにおいては香川県の香川国際交流会館(通称アイパル)の支援をいただいている。また、JICA草の根支援事業においては、実施にあたり県内のNPO法人との連携で実施している。

6.香川や交流先の地域社会のニーズに合った医学的貢献を行う=Contribution
医学部および医学部附属病院の持つ知識やノウハウを、教育、研究、医療などの面で提供し、交流先や地域社会に貢献を果たす。そのためにも地元のニーズ、あるいは交流先のニーズを十分に把握し、それに対して有効に貢献することが重要である。そのため、連携大学やその国の考え方や方針と十分に調整した上で、必要とされる貢献をオーガナイズする。

国際交流の方策

1.医学部国際交流委員会が医学部および附属病院の窓口となる
医学部国際交流委員会が、医学科、看護学科、臨床心理学科、附属病院の交流の窓口となって活動していく。(下図)

taisei1-1_R3.3.jpg

2.学生のニーズや、教育レベルに対応できるプログラムを増やす
医学科、看護学科、臨床心理学科の学生(学部学生、大学院生)の人材育成事業は、これからの国際交流の根幹を成すものである。学生のニーズの多様性や、教育(実習)レベルの妥当性などに対応できるプログラムを増やしていく。このため適切な交流校を増やしていくことも必要となる。

3.国際共同研究活動や国際貢献活動を活性化する
医学科、看護学科、臨床心理学科の教員の教育研究活動の海外展開を積極的に行い、これを医学部としてサポートする。我々の有する知識や技術を積極的に海外に向けて発信して、国際共同研究や国際貢献活動を実施する。この場合には、2015年に国際連合が提唱し、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動目標である2030年アジェンダ(「持続可能な開発目標(SDGs : Sustainable Development Goals)」に従って、企画立案し展開するように努力する。医学部としてもこうした活動を支援する。

SDGs.png

4.情報発信の充実を図る
充実した情報発信は特に国際交流においては重要である。ホームページの充実とアップデートを図る必要がある。医学部では、日本語のホームページのフレームに沿って訳するのではなく、留学生や外国人教員が主導して英語版のHPを作り公表した。さらに、留学を希望する人、共同研究を希望する人に判りやすく魅力的な構成になるように、医学部HPと連携して随時改訂している。

5.留学生、派遣学生の組織化・ネットワーク化を図る
タイおよび中国においては、チェンマイ大学など香川大学で勉強した人たちの同窓会が組織化されている。そうした取り組みを医学部でも広げるとともに活用していく必要がある。またチェンマイ大学とブルネイ・ダルサラーム大学には香川大学オフィスを設置した。今後も、留学生(現役、過去の人も含め)の組織作り、香川大学から協定校などへ派遣された経験者の組織作りと、ネットワーク化が必要である。学生や留学生の力は計り知れないほど大きいものであり、それをうまくシステム化することで「学生中心の交流」を実現する。彼らの力とアイデアをくみ上げることのできる体制を作る。
行動目標として掲げた、5.コミュニティとのネットワーク作りや、6.香川や交流先の地域社会のニーズへの医学的貢献などの実現のためにも、学生にも積極的に参加してもらう。

6.新しい海外研修システムを作る・活用する
学生の国際交流事業への参加希望者は多い。こうした熱意をさらにステップアップして、USMLEやMRCGPを将来取得し、アメリカやイギリスで臨床研修をするような学生たちのネットワークを作っていく。こうしたネットワークに、学部生のみならず、研修生、大学院生、卒業生、医局員なども参加してもらえるように持って行く。国際交流活動を英語の勉強のモチベーションとして活用するように持って行くことも重要である。

7.インターナショナルオフィスや他部局との連携を図る
全学の国際交流を遂行するインターナショナルオフィスが設置されており、医学部もこれをうまく活用して連携・協働して国際交流を推進する必要がある。国際交流活動も他分野そして異分野の融合したMultidisciplinaryな展開が必要であり、他部局との連携が重要になってきている。
例えばチェンマイ大学では、農学部、創造工学部、医学部に加えて社会科学系の学部も交流に参加し大きな広がりを見せている。またブルネイ・ダルサラーム大学との交流でも、農学部や教育学部との共同体制ができている。

8.国際交流活動の安全を図る
国際交流活動が進み、医学部の教職員や学生の海外渡航が増えてきている。海外で安全に活動ができるように、前もって危機管理については十分な知識を持ち、万一トラブルが発生した際に取るべき行動を理解して、渡航する必要がある。このため、学生の渡航に関しては、「香川大学学生等の国外における危機に対する対策要項」が制定されており、インターナショナルオフィスのホームページ上でも「海外での危機(安全)管理」についての情報提供を行っている(https://www.kagawa-u.ac.jp/kuio/study_abroad/23951/)。香川大学が開催している危機管理セミナーの受講を義務付けている。また、外務省の最新の安全情報を日本語で受信できる海外安全情報配信サービスである「たびレジ」への登録も必要である。私的な渡航であっても、渡航届を出すことを義務付けている。さらに、3か月以上滞在する場合には、現地の大使館または総領事館に在留届の提出が必要である。個々人も情報収集を的確に行い、テロのリスクや感染症への感染リスクなどを十分に把握したうえで渡航し、安全に海外での国際交流活動ができるようにする必要がある。