レクチン

 レクチン(lectin)は植物(ヒマの実)抽出液中に存在する赤血球を凝集させる物質として最初に見出された。レクチンは「酵素や抗体を除く多価の糖結合性蛋白質」と定義されてきたが、酵素活性を持つものなど多くの例外が見出されており、通常はより広い意味での糖鎖結合蛋白質と解釈されている。レクチンは様々な生理作用を示すが、これとは別に、その糖鎖結合能を利用したアフィニティー精製/標識にも利用される。糖鎖結合特異性を異にする多種類の植物由来レクチンがアフィニティー精製/標識用に市販されており、本実習ではコンカナバリンA*(Concanavalin A, Con A)を用いて前立腺糖蛋白質のアフィニティー精製を行う。
*、ナタ豆 Jack bean (Canavalia ensiformis) 由来の植物レクチン。N-結合型糖鎖、特に2本鎖複合型、高マンノース型、混成型糖鎖に強く結合する。


2.実習の内容

 本実習では、正常ラットに過剰量の性ホルモンを投与することにより、前立腺に対する性ホルモンの作用を調べる。各班毎に、正常(対照)ラットと性ホルモン投与ラットを作製し、前立腺分泌蛋白質(prostatein)の発現をmRNAと蛋白質レベルで調べる。また、前立腺組織抽出液からレクチンアフィニティークロマトグラフィーによる糖蛋白質の精製を行う。前立腺疾患と関連のある酵素(酸性ホスファターゼ、acid phosphatase)の活性測定も行う予定である。習得したい技術は(1)実験動物の適切な取り扱い方、(2)蛋白質の抽出と精製、(3)蛋白質の定量、(4)蛋白質の電気泳動、(5)免疫学的同定(ウェスタンブロット)、(6)RT-PCR法によるmRNA解析、(7)制限酵素によるcDNA断片のマッピングなどである。

 
                   

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