香川大学医学部公衆衛生学のホームページをご覧頂きありがとうございます。教授を務めさせて頂いております平尾智広でございます。当教室は本学の前身である旧香川医科大学開学時に、衛生・公衆衛生学として開設されました。初代中島泰知教授、二代實成文彦教授のご尽力のもと、香川の地に確かな足跡を残してまいりましたが、平成21年4月より公衆衛生学と衛生学の二講座制となり、現在に至っております。私は公衆衛生学の担当となりますが、先達の道程を継承しながら、新たな香川大学のPublic Healthを展開したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
香川大学医学部公衆衛生学 教授 平尾智広
学生の皆さんへ -なぜ公衆衛生学(社会医学)を学んだか
正直なところ、学生時代には公衆衛生学に対してあまり興味を持っていませんでした。昭和60年に大学を卒業後、一般病院でのレジデント研修を経て、大学の外科教室で消化器外科を中心とする修練を積んでおりました。公衆衛生分野に転向するきっかけとなったのは、レジデント終了後に参加した東アフリカでの医療協力でした。わずか2ヶ月間の滞在でしたが、ケニア国内での巡廻診療の経験が、その後のライフコースに大きな影響を与えることになったのです。帰国後しばらくの間は、どこでも何でもできる医師を目指そうと考えていたのですが、途上国の背景にある政治、社会、経済的要因や、高度な医療が無くても予防できる疾病について考えるうちに、国際保健、公衆衛生とのめり込んでいったのです。
その後、縁あって国立医療病院管理研究所(現国立保健医療科学院)の研究員となり、病院管理、医療経済、医療政策について学び、その中で研究の成果が国策として全国に普及して行く過程をみることができました。また人々を集団として観察することによって、初めて明らかになるリスクやベネフィットがあること、どんなに素晴らしい医療技術やサービスがあっても、それを提供するシステムがないと宝の持ち腐れになってしまうことなど、知れば知るほど、その重要性と面白さ怖さが分かってまいりました。その感覚は現在でも変わっていません。