- 治験責任医師の要件
(1) 治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
(ア)GCPを熟知し、これを遵守できる者。
(イ)医薬品GCP第42条又は医療機器GCP第62条に定める治験責任医師の要件を満たしている者。
(ウ)本学の教授、准教授、講師又は助教。
- 治験開始までの手順
(1) 治験責任医師は、治験依頼者から治験申し込みを受けた時は、当該治験の受け入れについて十分検討し、これを受け入れようとする時は、所属する診療科等の長の承認を得て治験依頼者と当該治験の治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて合意をする。
(2) 治験責任医師は、治験依頼者と合意をする時は、治験依頼者との間で合意文書を交わす。その際、合意文書は2部作成し、1部は治験依頼者、1部は治験責任医師が保管する。
(3) 治験責任医師は、治験事務局職員(事務職員)が作成した「受託研究に要する経費算定書」の内容を確認し、必要に応じ修正した後、所属する診療科等の長に報告し、記名・捺印又は署名して治験の申込み時に治験事務局に提出する。
(4) 治験責任医師は、治験の申込みに先立ち、治験責任医師として治験を適正に実施しうる者であることを証する最新の履歴書(書式1)及び治験分担医師の氏名リスト(書式2)(求めがあった場合には履歴書)を各2部作成し、治験依頼者を通じて治験事務局に提出する。また、その写しを治験責任医師が保管する。
(5) 治験責任医師は、治験協力者を置く場合には、治験の申込みに先立ち、当該者に履歴書の作成を依頼し、当該履歴書を治験事務局に提出する。また、その写しを治験責任医師が保管する。但し、臨床研究支援センター等所属のCRC及びSMOのCRCならびに本院の看護師、臨床検査技師、放射線技師などを治験協力者とする場合はその限りではない。
(6) 治験責任医師は、治験実施計画書、症例報告書の見本、最新の治験薬概要書、製品情報及びその他必要な資料・情報に基づき、治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討する。
(7) 治験責任医師は、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意説明文書を治験依頼者及び治験事務局の協力を得て作成する。
(8) 治験責任医師は、治験に係る重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、所属する診療科等の長の承認を得て治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)を作成し、治験事務局に提出する。
(9) 治験責任医師は、治験の申込みに係る文書を治験事務局に提出する際は、治験事務局にその内容の確認を受ける。
(10) 治験責任医師は、治験審査委員会の要請に従い、委員会に対し申込みした治験の内容を説明し、その審査を受ける。
- 治験開始後の手続き
(1) 治験責任医師は、病院長から治験審査結果通知書(書式5)の写し又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式C)を受けた場合、それを所属する診療科等の長に通知する。
(2) 治験責任医師は、治験事務局職員(事務職員)が作成した受託研究契約書の内容を確認した上で、受託研究契約書に記名・捺印又は署名する。
(3) 治験責任医師は、治験事務局職員(薬剤師)から治験薬等が納入されるなど払出しの見通しが可能となった旨の報告を受けた後、治験を開始する。(GCP上、契約締結後でなければ治験薬を納入できない。)
(4) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督する。
(5) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者等(被験者となるべき者又は被験者となるべき者に同意書を得ることが困難である時は、その代諾者となるべき者)に治験への参加を求める時は、必要に応じて治験協力者に補足させ、当該治験について治験審査委員会で承認を得た同意説明文書を交付したうえで十分な説明を行う。その際、同意文書(運用書式12(標準例))に説明を行った治験責任医師又は治験分担医師が記名・捺印又は署名して日付を記入する。被験者等の同意が得られた時は被験者等から記名・捺印又は署名と日付の記入を得る。その際、得られた同意文書(運用書式12(標準例))の写しを当該被験者に交付する。被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、他の伝達方法によりその内容を理解することができる場合には公正な立会人を立ち会わせた上で行い、同意文書(運用書式12(標準例))に立会人の記名・捺印又は署名と日付の記入とも併せて得る。なお、治験協力者が補足説明を行った時は、当該治験協力者も同意文書(運用書式12(標準例))に記名・捺印又は署名し日付を記入させる。[『]U.同意説明文書作成と同意取得の手順』を参照]
(6) 治験責任医師又は治験分担医師は、自ら又は補足説明を行った治験協力者に指示して、得られた同意文書(運用書式12(標準例))を診療録(カルテ)に貼付して保存する。また、同意文書(運用書式12(標準例))の写しを治験薬の処方に先立ち薬剤部に提出する。
(7) 治験責任医師又は治験分担医師は、自ら又はCRCに指示して、同意文書(運用書式12(標準例))を取得した被験者について治験開始通知書(運用書式5:4部複写の1枚目)を治験薬投与に先立って患者サービス課に提出し、当該被験者の治験期間等を連絡する。当該被験者の治験期間を延長する場合は4部複写の2枚目を、治験期間が終了した時は4部複写の3枚目をそれぞれ患者サービス課に提出し、4部複写の4枚目を保管する。
(8) 治験責任医師又は治験分担医師は、自ら又はCRCに指示して、被験者が治験のために来院した都度、治験のための来院通知書(運用書式9)に必要事項を記入の上、臨床研究支援センターに送付する。
(9) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験の実施に際し、必要に応じて治験協力者に補足させ、治験薬等の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験薬等にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を遵守しているか否かを確認する。
(10) 治験責任医師又は治験分担医師は、必要に応じてCRCに補助させ、正確な症例報告書を作成する。治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書について、その内容を点検したうえで記名・捺印又は署名し、適切な時期に、治験依頼者に提出する。
(11) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書からの逸脱行為については、全てカルテ等に記録しておくこと。
(12) 治験責任医師は、被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他の説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
(13) 治験責任医師は、その他、病院長の指示・決定に従い、かつ治験実施計画書、GCP及び取扱規程を遵守して治験を実施する。
- 治験実施中の義務
(1) 治験責任医師は、次の場合、当該文書を速やかに提出しなければならない。
(ア)治験実施計画等を変更する場合は、治験に関する変更申請書(書式10)を治験事務局に提出する。治験実施計画書を変更する場合、治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについての合意書の写しを添付する。
(イ)治験審査委員会の審査の対象となった文書を追加、更新又は改訂する場合は当該文書を治験事務局に提出する。
(ウ)緊急の危険回避のため治験実施計画書から逸脱又は変更した場合は、所属する診療科等の長に報告し承認を得て、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8)を治験依頼者及び治験事務局に提出する。その際、治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案も可能な限り早急に治験依頼者及び病院長へ提出する。また、病院長を経由して治験審査委員会に提出し、その承認を得た後、病院長を経由して治験依頼者の合意を「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式9)」の写しにより得る。
(エ)重篤な有害事象(医療機器治験の場合は、「重篤な有害事象」を「重篤な有害事象及び不具合」と読み替える)が発生した場合は、速やかに所属する診療科等の長に報告し承認を得て、重篤な有害事象に関する報告書(書式12-1、書式12-2、又は書式14、製造販売後臨床試験の場合は書式13-1、書式13-2又は書式15)を治験依頼者及び治験事務局に提出する。
(オ)治験期間が年度を越えて継続する場合は、治験実施状況報告書(書式11)を治験事務局に提出する。
(カ)治験分担医師を変更したい場合は、変更予定日に先立って治験審査委員会の審査を受けられるよう治験分担医師の最新の氏名リスト(書式2)を各2部作成し、治験依頼者と、治験依頼者を通じて治験事務局にそれぞれ提出する。また、その写しを保管する。
(キ)治験協力者を変更したい場合は、変更予定日に先立って当該者に履歴書の作成を依頼し、当該履歴書を治験事務局に提出する。また、その写しを保管する。但し、臨床研究支援センター所属のCRC及びSMOのCRCならびに本院の看護師、臨床検査技師、放射線技師などを治験協力者とする場合はその限りではない。
(2) 治験責任医師は、次の場合、治験審査委員会の要請に従い、治験審査委員会に対しその内容を説明し、当該治験の継続に関する審査を受ける。その際、口頭による説明を行うか、文書による説明を行うかは、事前に治験審査委員会委員長が決定する。
(ア)治験依頼者より治験実施計画書の変更の申し入れを受けた場合
(イ)治験依頼者より審査対象となった文書が追加、更新又は改訂された旨の連絡を受けた場合
(ウ)治験依頼者より、重篤かつ予測不能な副作用情報、及び被験者の安全又は治験実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報の報告を受けた場合
(エ)治験依頼者から、治験責任医師の変更申請を受けた場合
- 終了・中止の報告の義務
(1) 治験責任医師は、治験を終了又は中止した時は、所属する診療科等の長に報告する。
(2) 治験責任医師は、治験を中止又は終了した時は、治験終了(中止・中断)報告書(書式17)を治験事務局へ提出する。
- モニタリング及び監査等に対する立ち会い
(1) 治験責任医師又は治験分担医師は、モニタリング及び監査を受けることについて同意し、被験者にその診療情報がモニタリング及び監査の対象となりうることについて、同意説明文書にその旨を記載し、治験に参加させる時に同意を得る。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、直接閲覧を伴うモニタリング及びヒアリングの実施の際、必要に応じて立会うものとする。(立会の許可、日時等についての連絡調整は治験事務局職員が行い、治験責任医師に連絡するものとする。)
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、モニタリング及び監査の実施の際に、モニター及び監査担当者から診療録、診療情報データ等の原資科のコピーの持ち出し依頼があった場合は、被験者の秘密が保全された状態での持ち出しのみを許可し、その状態を確認する。(被験者のプライバシー(氏名、住所等を含む)が記載された部分のコピーは許可しない。また持ち出してのコピーは許可しない。)
(4) 電子カルテの閲覧は事務局員又はCRCの立ち会いの下で、立ち会い者のIDとパスワードによって行う。
- 研究会等への出席時の手続き
(1) 契約期間内の出席については、その費用を予め契約金額に含めておき、その費用をもって通常の出張として行う。
(2) 契約期間外の出席については、出席依頼者の実費負担(交通費、宿泊費、それらのチケット等)によって行うことができる。
(3) (1)、(2)いずれの場合も出席依頼者より派遣依頼書を受理して行うものとする。
(4)報酬を受け取る場合は、別途兼業の規程による。
- 記録の保存
(1) 治験責任医師は、GCP又はGPSPに従って治験依頼者から送付された文書を、省令で定められた期間保存する。
(2) 治験責任医師は、GCP又はGPSPに従って病院長から送付された文書を、省令で定められた期間保存する。
(3) 治験責任医師は、GCP又はGPSPに従って治験依頼者に送付した文書の写しを、省令で定められた期間保存する。
(4) 治験責任医師は、臨床研究支援センターと協議の上、以上の文書又は文書の写しの保存を臨床研究支援センターにおいて行うことができる。