香川大学医学部附属病院 臨床研究支援センター

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Ⅷ.臨床研究支援センター(治験コーディネート部門)の業務

  1. 治験コーディネーター(以下「CRC」という。)の指名
  2. CRCの業務は、病院長からCRCとして任命された臨床研究支援センター等職員及びSMOのCRCが行う。個々の治験について、その担当となるべきCRCは、治験の申し込みに先立ち、臨床研究支援センター副センター長(治験コーディネート部門担当)が当該治験の治験責任医師と協議の上、必要に応じて決定する。当該治験の担当となるCRCは、治験の申込みの際、治験協力者としてその業務の内容と共に治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)に記載され、病院長に承認されることによって指名される。

  3. 治験依頼者からのヒアリング
  4. (1) CRCとなるべき者は、治験依頼者が提出した審査用に提出する予定の資料(治験実施計画書、治験薬概要書又は治験機器概要書(製造販売後臨床試験の場合は添付文書)、症例報告書の見本、同意説明文書等)を熟読し、問題点、疑問点を洗い出しておく。

    (2) CRCとなるべき者は、治験事務局職員が行うヒアリング[『Z.臨床研究支援センター(治験事務部門)の業務』を参照]に同席し、治験薬等の概要、予想される副作用、治験スケジュール、被験者の選択基準及び除外基準、症例登録手続き、群間比較試験の場合の割り付け方法、臨床検査項目、保存すべき原資料の範囲等を確認する。また、前項の問題点、疑問点を解決する。

    (3) CRCとなるべき者は、治験依頼者が特に希望する業務(被験者への器具等の使用方法の説明、服薬日誌等の記入方法の説明等)があればその内容を確認する。

    (4) CRCとなるべき者は、治験を進めるにあたり必要な資料・物品(ワークシート、外注検査用のキット等)を確認し、そのリストを作成する。また、必要に応じて治験依頼者の担当者(モニター等)に、治験を適正に実施するうえで、使用すれば有効と考えられるゴム印やシール等の作成を依頼する。

    (5) CRCとなるべき者は、本院で治験を実施するに当たって、治験依頼者から提供された同意説明文書の作成に必要な資料・情報を確認し、不備な点があれば指摘し、また必要に応じて適当な文面を示して、治験責任医師の同意説明文書の作成に協力する。

  5. 業務内容の決定
  6. (1) CRCとなるべき者は、決定した業務内容を氏名と共に治験協力者として治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)に記載するよう治験責任医師に依頼する。なお、治験コーディネーターの業務内容(運用書式6)を作成する場合、分担する業務の内容記入欄には「別紙の通り」と記載して、治験コーディネーターの業務内容(運用書式6)の写しを添付する。

    (2) 治験責任医師は、前項の治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)を、治験の申込み時に治験事務局に提出する。

  7. 開始時協議
  8. (1) CRCは、治験の開始に先立ち、治験責任医師との間で、業務の細かな分担、連絡方法等を協議する。また、被験者との面談の方法等を協議しておく。

    (2) CRCは、治験の開始に先立ち、治験責任医師の協力を得て、外来又は病棟の看護師、医師等、当該治験の被験者に関わる予定のあるスタッフにスタートアップミーティングを行い、治験内容を周知し協力を得る。

  9. 治験実施中の業務
  10. 以下の業務は、CRC、治験依頼者の担当者(モニター等)、治験責任医師及び臨床研究支援センター副センター長(治験コーディネート部門担当)が協議のうえ、個々の治験において実施するか否かを決定する。

    1 ) 被験者のリクルート及びスクリーニング
    (1) CRCは、治験責任医師がリクルートした被験者となるべき者(以下「被験者候補」という。)について、選択基準及び除外基準に照らして、被験者としての適格性をスクリーニングする。その際、当該治験で用意されている登録用紙を利用しても良い。
    (2) CRCは、治験責任医師の依頼を受け、又は治験責任医師に働きかけて、治験責任医師から示された患者の中から被験者候補を検索する。

    2 ) 説明と同意の取得
    (1) CRCは、被験者候補の来院日までに同意説明文書及び同意文書(運用書式12(標準例))を準備し、必要に応じ、同意説明文書に連絡先(治験責任医師又は治験分担医師、相談窓口)を記入する。
    (2) CRCは、治験責任医師又は治験分担医師が被験者候補に同意取得のための説明を行う際に、同席し、又は説明が行われた後に治験期間、検査項目、スケジュール、費用、負担軽減費の支給等について補足説明を行い、また、治験に関する質問及び相談に答える。その際、可能な限り、被験者候補が内容を十分理解でき、参加について十分考慮でき、また必要であれば第三者に相談できる時間を取れるよう配慮する。
    (3) CRCは、被験者候補に補足説明した治験において同意が得られた場合は、同意文書(運用書式12(標準例))の治験協力者の欄に記名・捺印又は署名し、日付を記入し、最終的な記載事項の確認を行う。
    (4) CRCは、被験者候補に補足説明した治験において同意が得られた場合は、得られた同意文書(運用書式12(標準例))のカルテ用を診療録等(症例ファイルを含む)に綴じておく。コピーをとり、診療情報管理室にスキャン依頼する。治験責任医師又は治験分担医師にその写し(患者さん用)の被験者への交付を確認する。

    3 ) 患者情報収集
    (1) CRCは、治験開始までに被験者と面接し、被験者の家族・社会的背景、既往歴、他院への通院の有無、他院等での併用薬の有無等、治験参加に対しての不安や疑問の有無を確認し、被験者情報記録(運用書式7)に記入する。
    (2) CRCは、医療情報端末等から被験者基本情報及び、処方、検査結果等の情報を入手し、治験経過記録(運用書式8)に記入して、被験者毎に作成したファイルに被験者情報記録(運用書式7)その他被験者の治験に関する記録と共に保管する。
    (3) CRCは、必要に応じて、病歴室にて、又は病歴室から借り出して診療録を閲覧し被験者の治験の進行に関する情報を収集して被験者情報記録(運用書式7)及び治験経過記録(運用書式8)に記入する。

    4 ) スケジュール管理
    (1) CRCは、治験開始時に治験中の治験責任医師又は治験分担医師が行うべき処方、検査、問診等、実施計画書中に要求されている項目及び治験開始通知書(運用書式5:4部複写の1枚目)の送付、治験のための来院通知書(運用書式9)の送付をする。
    (2) CRCは、治験開始時に治験中の被験者が行うべき来院(受けるべき検査、処方)、服薬、自己の症状の記録等、実施計画書中に要求されている項目を時系列に記載したスケジュール一覧を治験依頼者の担当者(モニター等)の協力を得て被験者毎に作成し、被験者の来院時等、必要の都度、被験者に交付し、又は治験責任医師又は治験分担医師に交付を依頼して注意を喚起する。また、必要に応じて、被験者の来院予定日前日等に、被験者に電話連絡により来院日時等を確認し、被験者の都合で来院できない場合は治験責任医師又は治験分担医師と連絡を取り、来院日を変更する。交付又は交付を依頼した旨とその内容、及び被験者への電話連絡内容を日付と共に治験経過記録(運用書式8)に記載する。
    (3) CRCは、治験開始時にCRC自身が行うべき行為(前2項のスケジュール管理を含む)を時系列に記載したスケジュール一覧を作成し、これを基に業務時間の調整を行う。
    (4) CRCは、治験開始時に治験に伴う併用禁止薬、併用制限薬一覧の作成および注意事項、連絡事項を診療録に綴じ込んで、もしくはカルテの掲示板を使用して他科の医師に対して注意を喚起する。
    (5) CRCは、治験実施中、被験者の来院予定日前日等に被験者への電話連絡を行い、受診日の確認、残薬等持参すべきものの確認を行う。確認した内容を日付と共に治験経過記録(運用書式8)に記載する。

    5 ) 被験者との面談
    (1) CRCは、必要に応じて被験者との面談を行い、服薬状況、有害事象の有無、併用薬剤の有無を確認する。面談した内容を日付と共に治験経過記録(運用書式8)に記載する。
    (2) CRCは、必要に応じて治験相談窓口の担当となり、電話又は面談により被験者からの相談及び質問に応える。その際は、相談、質問及びそれに対する回答内容を日付と共に治験経過記録(運用書式8)に記載する。また、その内容を治験責任医師又は治験分担医師に報告する。

    6 ) 治験薬の処方及び被験者による服用等の管理
    (1) CRCは、被験者に治験薬の服用方法、残薬、空容器等の回収方法、服薬日誌の記入方法等の補足説明を行う。補足説明した内容を日付と共に治験経過記録(運用書式8)に記載する。
    (2) CRCは、必要に応じて被験者から残薬、空容器等を回収し、治験責任医師又は治験分担医師に報告の上治験薬管理者に返却する。
    (3) CRCは、治験薬処方に際して、処方予定日前日等に治験責任医師又は治験分担医師に処方治験薬名、用量・用法等のリストを交付して処方を支援する。

    7 ) 検査の管理
    (1) CRCは、外注検査がある場合、予め治験依頼者の担当者(モニター等)、外注検査委託業者、治験責任医師と、外注検査用キット(以下「キット」という。)の保管、検体採取方法及び保存方法等について打ち合わせを行い、キットを検査実施まで保管する。
    (2) CRCは、外注検査実施に際してキットを治験責任医師、治験分担医師又は検体採取係の元に持参し、検体採取を依頼し、検体を保管する。外注検査委託業者に連絡し、検体の回収と測定を依頼する。
    (3) CRCは、治験依頼者の担当者(モニター等)に外注検査結果を、治験責任医師又は治験分担医師とは別途に送付してもらうよう依頼しておく。
    (4) CRCは、治験のための検査が実施される際は、検査前日等に治験責任医師又は治験分担医師又は検体採取係に検査リストを交付して検査の欠落を防止する。[『[.臨床研究支援センター(治験コーディネート部門)の業務、5.治験実施中の業務、4)スケジュール管理』を参照]

    8 ) 症例報告書の作成補助
    (1) CRCは、必要に応じて症例報告書の記載項目の内、検査値等、判断を伴わない項目の記載を補助する。その際は、必ず治験責任医師又は治験分担医師の監修を受ける。
    (2) CRCは、症例報告書の治験依頼者への提出に先立ち、記入漏れ、訂正印、記名・捺印又は署名の漏れ等をチェックする。

    9 ) 有害事象発生時の対応
    (1) CRCは、治験依頼者の担当者(モニター等)に他施設あるいは海外で発生した有害事象の報告を、治験責任医師と共にCRCにも送付されるよう依頼しておき、送付された場合、必要に応じて治験審査委員会での説明(治験の継続に関する意見書(運用書式3)の作成)の補助を行う。
    (2) CRCは、院内で副作用、重篤な有害事象(医療機器治験の場合は「重篤な有害事象」を「重篤な有害事象及び不具合」と読み替える)が発生した場合は、治験実施計画書及び本院の規程に従い、治験責任医師が必要な手続きを行うための補助を行う。具体的には重篤な有害事象に関する報告書(書式12-1、書式12-2、製造販売後臨床試験の場合は書式13-1、書式13-2)、医療機器治験の場合は、重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式14、製造販売後臨床試験の場合は書式15)の準備、記入項目の情報の収集、書類の提出等である。

    10 ) 同意説明文書の改訂
    (1) CRCは、治験審査委員会にて同意説明文書の改訂を条件に承認された場合等、治験依頼者の担当者(モニター等)及び治験責任医師と協議して同意説明文書内容を変更し、治験責任医師に改訂された同意説明文書を治験事務局に提出するよう依頼する。
    (2) CRCは、治験責任医師が被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報を得て同意説明文書を改訂する場合、治験依頼者の担当者(モニター等)及び治験責任医師と協議して同意説明文書を改訂し、治験責任医師に治験に関する変更申請書(書式10)及び改訂された同意説明文書を治験事務局に提出するよう依頼する。

    11 ) 治験の終了手続き
    (1) CRCは、治験症例が終了又は中止となった場合は、治験責任医師又は治験分担医師に対して患者サービス課へ治験終了通知書(運用書式5:4部複写の3枚目)を送付するよう依頼する。
    (2) CRCは、治験症例が終了又は中止となった場合は、治験責任医師又は治験分担医師に対して可及的速やかに症例報告書を作成するよう依頼し、症例報告書の作成補助を行う。
    (3) CRCは、治験が終了又は中止となった場合は、治験責任医師に対して、治験終了(中止・中断)報告書(書式17)を提出するよう依頼し、判断を伴わない項目の記載を補助する。

    12 ) モニタリング及び監査への対応
    (1) CRCは、予め治験依頼者の担当者(モニター及び監査担当者)に対してモニタリング及び監査の申し込みを行う時はCRCに連絡するよう申し入れておく。
    (2) CRCは、モニタリング及び監査の申し込みがあった場合は、治験責任医師と協議してモニタリング又は監査当日にCRCと治験責任医師又は治験分担医師の対応分担を決定する。ただし、CRCが対応の全てを行うことはできない。
    (3) CRCは、必要に応じてモニタリング及び監査の申し込みの際に必要とされた資料の準備を補助する。
    (4) CRCは、必要に応じてモニタリング及び監査のための場所として臨床研究支援センターの部屋の使用を申し入れ、許可を得る。
    (5) CRCは、モニタリング又は監査当日に自らの対応が終了した後、治験責任医師又は治験分担医師に連絡し、不明内容の確認と治験責任医師又は治験分担医師の対応を依頼する。
    (6) CRCは、モニター又は監査担当者から原資料のコピーの持ち出しを希望された場合は、同意説明文書中にコピーの持ち出しを認める旨の文章が記載されていることを確認した上で、CRC立ち会いの元でのコピーを許可し、コピー中に被験者のプライバシーに関する内容が含まれていないことを確認した上で持ち出しを許可する。

    13 ) 書類の保管
    (1) CRCは、自らが作成した被験者情報記録(運用書式7)、治験経過記録(運用書式8)及びその他の記録、資料を被験者毎にファイルし、治験終了まで保管する。治験終了後は治験事務局に依頼して、治験事務局が保管する当該治験に係る書類と共に保管する。

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