肝胆膵外科
肝胆膵外科学会高度技能
専門医修練施設(A)
当院は肝胆膵の高難度手術を安全に施行できる病院として、日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医修練施設に指定されています。一般病院では難しい肝胆膵の高難度手術を積極的に行い、極めて良好な成績を上げてきました。当院では高難度手術を直近の5年間で300件以上行っている修練施設(A)であり、香川県内では当施設のみ、全国では約120施設がその認定を受けています。
肝胆膵高難度手術症例数の推移
(日本肝胆膵外科学会規定による)

中四国初! 膵臓・胆道センター開設
2023年に新設された『香川大学医学部附属病院膵臓・胆道センター』では、消化器外科 教授である岡野圭一がセンター長となり、消化器内科・腫瘍内科・消化器外科・放射線診断科などの専門家の知見と技術を集結して、難治癌である膵がんや胆道がんなどの膵臓・胆道領域の診断・治療に取り組んでいます。


膵(すい)癌
膵癌は各種癌の中でも極めて悪性度が高く、手術のみで根治が得られる症例は限られています。膵癌の治療成績向上を目的とした術前治療に関して、当科では2009年より切除可能膵癌および切除可能境界膵癌に対する術前化学放射線療法の臨床試験を開始し、その有用性をこれまで多くの英文誌で報告してきました。また、本邦の多施設共同臨床試験(Prep-02/JSAP05)においても、切除可能膵癌に対する術前化学療法の有用性が示されており、我々の報告と同様に、術前治療の有効性を支持する結果となっています。さらに、当科からの最新の報告においても良好な治療成績を示しています

切除可能膵癌に対しては、現在も5週間の治療期間レジメンによる術前化学放射線治療の臨床試験を進めています。

また、動脈接触を伴う切除可能境界型膵癌は、潜在的な遠隔転移や術後再発の可能性が高く、このタイプの膵癌に対しては、腫瘍内科と連携し強力な術前化学(+放射線)療法を行うことで治療成績の改善を目指しています。
さらに、癌の進行度が高く診断時に切除不能と考えられた局所進行膵癌に対しても、化学療法や化学放射線療法を駆使し、奏効した症例には、R0根治切除(癌の組織学的遺残のない手術)が施行できるようになっています。現在、局所進行切除不能膵癌に対して手術を施行した中でも5年以上無再発生存例も認められるようになってきました。
- 《資格取得者》
- 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医:岡野圭一、大島稔、須藤広誠、安藤恭久
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低侵襲 肝胆膵外科手術
腹腔鏡下肝胆膵手術
当院では積極的に腹腔鏡下肝胆膵手術を行っています。肝胆膵手術における腹腔鏡下手術では、創部縮小による整容面だけでなく、拡大視効果による細かな手術や手術中の出血量の減少などにより、患者様への術中術後の負担軽減が臨め、術後在院日数は短縮しています。安全に行うことが出来れば、非常にメリットの高い手術方法になります。
さらに直近では、各術式のロボット支援下手術の施設認定を取得し、導入を開始しております。
- ≪資格取得者≫
-
日本内視鏡外科学会技術認定(消化器):岡野圭一、大島稔
Certificate da Vinci System Training as Console Surgeon:岡野圭一、大島稔、須藤広誠、安藤恭久
ロボット支援膵体尾部切除プロクター:岡野圭一、大島稔、須藤広誠
ロボット支援膵頭十二指腸切除プロクター:岡野圭一
ロボット支援肝部分切除暫定プロクター:岡野圭一
ロボット支援総胆管拡張症手術暫定プロクター:岡野圭一
<ロボット支援下肝胆膵手術 (da Vinci)とその短期成績>
2022年度~ロボット支援下膵体尾部切除術を導入
:54例に実施し、臨床的な術後膵瘻は5.5%であり術後在院日数(中央値)も12日
2023年度~ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を導入
:45例に実施し、臨床的な術後膵瘻は8.9%であり術後在院日数(中央値)も16日
2024年度~ロボット支援下肝部分切除を導入
:症例を積み重ねて、肝亜区域切除や肝葉切除への適応も拡大しました。
2024年度~ロボット支援下総胆管拡張症手術を導入
:ロボットの特徴を活かして、より精緻な胆管空腸吻合が施行可能となっています。
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膵臓移植
はじめに
香川大学医学部附属病院では1型糖尿病の患者様に対して脳死下臓器提供 膵(すい)臓移植ならびに膵臓・腎臓同時移植を実施しております。実施施設は全国で19施設が認定されており、四国では唯一、香川大学医学部附属病院で実施可能です。腎不全を伴った1型糖尿病患者様に対する膵臓腎臓同時移植は、インスリン注射や透析療法から離脱でき生活の質が改善するだけでなく、生命予後も改善できる医療です。
脳死膵臓移植とは
1型糖尿病は自分の膵臓からのインスリン分泌が枯渇(こかつ)して発症する病気です。2型糖尿病と比較すると発症が若く、学童期に突然発症することも多いのが特徴です。1型糖尿病は補充療法としてインスリン注射が必要となりますが、血糖コントロールが難しく、多くは動脈硬化の進行および糖尿病合併症(腎障害、網膜障害、神経障害など)を認めます。また、頻回の低血糖発作をきたす症例も多く、生命予後にも影響します。1型糖尿病で糖尿病性腎症を発症すると、頻回のインスリン自己注射や週に3回の透析が必要となるため、普段の生活は制限されます。
1型糖尿病の治療、1型糖尿病による重篤な合併症(心、脳、神経、網膜における血管障害)の予防、および糖尿病性腎症の治療として、脳死ドナー(脳死により臓器を提供していただく方)からの膵腎同時移植が世界各国で確立された治療法として広く行われています。
膵臓移植後は、毎日の血糖測定とインスリン注射から解放され、低血糖になる危険性もなくなります。また、前述した糖尿病合併症の進行を止める、あるいは改善させることができます。既に腎不全になっており、透析を受けておられる患者様には、同時に行う脳死腎臓移植により透析からも解放されます。すなわち生活の質を著しく改善し、社会復帰を可能にすることがこの治療法の主たる目的ですが、生命予後も格段に改善されることがわかっています。2006年4月から脳死下での膵臓移植は一般的な治療として保険適用となっています。

※膵臓移植中央調整委員会資料より引用

当院での膵臓移植

当院での膵臓移植

日本膵・膵島移植研究会HPより
当院における脳死膵臓移植の現況と成績
当院は2009年に膵臓移植実施施設に認定されました。病院全体で移植医療の推進に力を入れており、膵臓移植移の際には当科のみならず、移植医療に携わる泌尿器科、腎臓内科、糖尿病内科、麻酔科などが連携をとり、治療に当たっております。2026年4月現在までに、当院で14例の膵臓腎臓同時移植と1例の腎移植後膵臓移植を実施致しました。移植後の成績として、12例が良好な膵臓機能を維持しており、インスリン注射が不要となっております。現在までの移植臓器の生着率は膵臓が86%、腎臓が92%となっています。また、多くの方が膵臓移植後に完全社会復帰を果されています。
- 《資格取得者》
- 日本移植学会認定医:岡野圭一、大島稔、須藤広誠