香川大学には学生自身の手で定めた学生憲章があります。
私たちは、穏やかで風光明媚な瀬戸の島々を眺めつつ、しなやかで強健な心身を養い、その先に広がる交流や未来に思いを馳せます。日本一コンパクトな香川から、日本一コシの強いうどんが生まれたように、私たちは時代を見すえ、感性を研ぎ澄まし、地域へ世界へと羽ばたいていきます。かけがえのない時間を豊かで実りあるものとするために、香川大学生としてキラリと輝けるように、私たちの志を謳った学生憲章をここに定めます。
①学問や研究の世界に触れ 幅広い視野をもつ人になります
②新しい知識や技術を習得し 果敢に挑戦する人になります
③つながりを大切にし 大きく豊かな心をもつ人になります
④夢を描き その実現に向けて努力する人になります
⑤小さな変化も見逃さず 大胆な発想で行動する人になります
⑥市民として責任ある行動に努め 社会に貢献する人になります
⑦グローバル社会の中で地域とともに活躍する人になります
一方で、香川大学医学部医学科における教育理念は、
①幅広い教養と高い倫理観を備えた人間性豊かな医師・医学研究者
②自ら課題を探求し、それを解決できる高度な専門知識と技術、科学的思考力、判断力を備える医師・医学研究者
③地域に根差した医療人として地域医療に貢献し、地域における医学・医療の中核としての指導的役割を担うことができる医師・医学研究
④国際交流や国際貢献のための幅広いコミュニケーション能力と国際的視野を持った医師・医学研究者
を育成すること、とあります。やや堅苦しいですが、学生たちが定めた憲章と見事にリンクしています。
6年間の学びの中で身につけるべき能力・態度(ディプロマ・ポリシー:DP)のキーワードを挙げると、
①言語運用能力:共感、連携、リーダーシップ
②知識・理解:独創、 根拠
③問題解決・課題探求能力:自己主導、向上
④倫理観・社会的責任:省察、研鑽、一員
⑤地域理解:協働、連携、貢献
これらを身につけるためのカリキュラムポリシーの詳細は別に示しておりますが、医学科の教育体制の特徴は医学教育モデル・コア・カリキュラムに則りつつ先に挙げたDPを達成するためのカリキュラム編成をしていることです。医師・医学研究者としての知識や技能のみならず、豊かな人間性と幅広い教養、コミュニケーション能力、社会的責任と高い倫理観、国際的視野と地域理解、向上心と課題探求・問題解決能力などを涵養することを目的とした科目が配置されています。地域医療やチーム医療が体験出来きる1・2年次からの「早期医学科目」には、研究医の育成や科学的思考の醸成を目的とした2年次の「医学と研究」があります。また、自分で研究室を選択し、実際の研究活動に参加することが可能な3年次の「医科学研究」では、得られた成果は在学中に学会や英文論文等で発表する学生もいます。中四国4大学で取り組む共育プロジェクトによる地域医療人材育成など特色のあるアプローチも行っています。また、教育方法として座学による知識習得だけでなく、実習やproblem-based learning(PBL)・チュートリアル方式、グループワークなど学生自らが積極的に学修に取り組むアクティブラーニングを推進しています。いずれにしても、教育の目標は「自立」したひとを育てることであり、そのためにどのような支援が必要か、を常に考えたカリキュラム再編を心がけています。
毎年行われる医学部祭、様々なサークル活動も学生の自主性を養う上で重要な行事であり、とくに連携、協働といった将来医療人として働く上で極めて重要な人間性を高める機会になっています。多彩な国際交流活動も本学科の大きな特徴で、ブルネイ・ダルサラーム大学、ロンドン大学・セントジョージ医学校、グラスゴー大学、ニューキャッスル大学、チェンマイ大学、シンガポール国立大学、河北医科大学等と交流し、短期留学プログラムにより毎年30名以上が海外で学ぶ機会を得ています。特にブルネイ・ダルサラーム大学やチェンマイ大学とは双方向性交流として、交流校からの受入プログラムもあり、学内においても留学生との交流が積極的に行われています。
医学科のみならず看護学科、臨床心理学科といった3学科が揃った医学部は極めてまれで、本学の大きな特徴といえます。その特性・優位性を生かした3学科共同の学習の場を拡げ、
これからの時代にふさわしい医療人材の育成と確保に努め、少子化・高齢化といった社会の大きな変化、医療人材の偏在といった課題に応えることのできる医学科を目指していきます。