教授 日下 隆
成熟する小児科
香川大学小児科のホームページへお越しいただきありがとうございます。2014年4月より第3代教授に就任した日下隆です。
これまでの香川大学小児科学講座は、初代の故大西鐘壽名誉教授により開講され、主に医学研究の方向性の立ち上げに力が注がれ、新生児のビリルビンと酸素代謝、発達的薬物代謝の研究が中心に行われました。
そして伊藤進名誉教授に引き継がれ主に地域医療への貢献に力が注がれました。特に地域医療の枠組みとして小児科学会香川地方会、香川県小児科医会、香川県小児保健協会の3者協が作られ、各方面からの香川県の小児科医療を中心とした地域貢献がなされました。更に小児未承認薬解決への全国区レベルの貢献として、医師主導型治験などを積極的に行われました。
これらの業績を継承しつつ、これからの歩みの重点課題としては、卒前・卒後の医学教育を考えています。そして「成熟する小児科」として一人一人の教室員が人間的に成熟する教室を目指しています。
「自分の専門分野を、自発的に開拓する」
小児科医はこどもの総合診療医であり、こどもとその家族をトータルケアできることが大事です。新生児医療や救急医療、乳幼児健康診断などのプライマリケアを学んだうえで自分の専門分野をもち、臨床や研究活動をしてほしいと考えています。そのための学会活動や論文作成、海外・国内留学をサポートします。
「教室の国際化」
海外への留学や国際学会への参加などを積極的に行っています。特にアジア地域との連携は重要であり、今まで主にミャンマーからの研究生の受け入れ、ブルネイでの医療活動を行いました。2017年から2019年には「ミャンマーにおける核黄疸撲滅プロジェクト」を行い、ミャンマー小児科学会へ経皮膚黄疸計と管理方法(基準値)の寄贈をしました。また、2019年5月には小児・新生児領域における若手医師、研究者のための国際教育セミナーを開催し、世界16カ国から多くの参加者が集まりました。このように世界、特にアジア地域への医療の貢献ができる人材育成を目指しています。
「教室員を増やす努力を行う」
就任した2014年度より20名の先生方が新しく入局してくださいました。2020年度の卒後臨床研修プログラム小児科コース在籍者は4名であり、地域医療施設と連携しながら研修や教育を行っています。また、香川だけでなく四国4大学が連携して四国の小児科医療を盛り上げていこうと考えています。その一環として2018年より医学部5,6年生を対象とした四国小児科サマースクールを行っています。
最後に
小児科医は子供たちの総合医です。「成熟する小児科」としてこどもと、家族と、仲間とともにその成長を喜ぶ小児科医師育成を行うことを目標とします。このため地域医療と国際医療貢献の双方に視点を持つ、人間的に成熟した人材育成を心がけます。そして将来の小児科専門医を取得後、各個人の専門分野を開拓することもサポートし、「楽しくなければ小児科でない」と語れる、小児科医を育成して参りたいと思います。
医局旅行 鳥取 水木しげる記念館にて(2017年6月撮影)
四国小児科サマースクール(第2回徳島大学担当)、徳島祖谷渓谷にて(2019年9月撮影)
IPOKRaTES(若手医師、研究者のための国際教育セミナー)、高松市にて(2019年5月撮影)