小児科研修初期プログラム
はじめに
小児医療においては「子どもは大人の縮図ではない」と表現されるように、小児期の特有な発達生理、病態生理学的見地に基づいた理解が最重要であると考えています。「楽しくなければ小児科ではない」との伊藤進名誉教授の言葉のように学問的探究心を持ちながら、子供と共に発育する楽しみを臨床現場で獲得すべく、小児科医としての喜びを体得できる研修を心掛けたいと考えています。
小児科研修の全体のながれ

病棟では担当グループの一員となり、診察の基本、鑑別の仕方、検査のすすめかた、治療や治療効果の評価の仕方を学びます。
カンファレンスやチーム内でのカンファレンスを通して治療方針のたてかたやプレゼンテーションの指導を行います。
また、時間外の外来診察や救急外来では、上級医とともにファーストタッチを行い、問診や診察、検査や入院が必要かどうかの判断などを学びます。

特に小児科医が新生児医療に取り組まなければ、乳児死亡率は減少しないし、後遺症も減少しないと考えています。新生児診療を研修での義務化とし、新生児疾患の鑑別や治療行為が出来るように指導します。

小児科診療での領域は広範囲であるため、各人が専門的なテーマを持ち、小児科専門医と同時にサブスペシャリテイーとしての専門医が取得できるように指導します。

更に地域の小児科医の先生方に協力して頂き、香川県地域での独自の課題解決型教育や臨床実習の枠組みを構築したいと考えています。
目標
小児科研修初期プログラムでは、研修終了後にSTEP1、STEP2を中心に習得できるように指導します。
経験できる手技
- 一般的な手技
- 採血(新生児含む)
- 点滴ルート確保
- 骨髄穿刺
- 超音波検査(心臓、腹部)
- 人工呼吸器管理
- 特殊な手技
- 髄液注射
- エコーガイド下腎生検
- ビデオ脳波検査
- 内分泌負荷試験
指導体制
- 小児科病棟、NICU(2年目、6か月程度)の診療チームに所属し、初期研修医1-2名に小児科後期研修医を1名配属し、チームの一員として病棟や外来の業務に従事します。
- 小児科専門医12名、臨床修練指導医11名が指導を行います。
- サブスペシャリティー領域では以下の資格をもった専門医・認定医が指導します。
- 周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医
- 日本臨床遺伝専門医
- 小児血液がん専門医
- がん治療認定医
- 日本血液学会血液専門医
- ICD(インフェクションコントロールドクター)
- 日本アレルギー学会専門医
- 日本小児神経学会専門医
- 日本肝臓学会肝臓専門医
- 日本消化管学会胃腸科認定医
- IBCLC(国際認定ラクテーションコンサルタント)
- 日本感染症学会専門医
体験談・1
小児科コースを選択して頂いた板東里佳先生にお話を聞きました。

- 出身はどちらですか?
- 香川県生まれ香川県育ちです。
- なぜ小児科コースを選んだのですか?
- 子どもと関わったり話したりすることが好きだったので、高校生の時から小児科医になりたいなと思っていました。学生時代の病院実習でもその気持ちは変わらず、子どもたちが病気が治って元気になり笑顔になっていく姿に一番やりがいを感じました。
研修医のうちに少しでもたくさんの経験ができるよう、小児科コースを取ることを決めました。
- 今はどのようなことが大変ですか?
- 実際に小児科で研修してみて、先生方の知識の豊富さに驚くとともに、日々学ぶことの多さを痛感し、時間を大切に使わなければならないと焦りはあります。
研修中に実際に診ることができた疾患についてはしっかり勉強して、これからに活かしたいなと思っています。
- これから小児科医を目指す後輩にメッセージをお願いします。
- 私もまだ研修がはじまったばかりで日々必死ですが、小児科の先生方は困っていると声をかけてくださったり、本を貸していただいたり、勉強の仕方を教えてくださったりして、非常に充実した研修を送ることができています。今はしっかり国家試験の勉強を頑張ってください、応援しています!
体験談・2
小児科コースを選択して頂いた田中久夢先生にお話を聞きました。

- 出身はどちらですか?
- 香川県の観音寺市です。
香川県の西の端で、寛永通宝の砂絵が有名なところです。香川県は天候が良く災害も少ないので住みやすいところだと思います。幼少期は静岡県にも住んでいました。
- なぜ小児科コースを選んだのですか?
- 学生の時に小児科で働く先生を見てとても楽しそうだと感じたからです。
また、小児科は感染症やアレルギー、内分泌疾患、神経疾患、血液腫瘍、新生児の疾患など、子どものあらゆる疾患を診療するので、学問的にもおもしろそうだと思っていました。小児科コースでは小児科当直・夜間対応や新生児の全身管理の研修ができ、3年目以降の専門研修につなげる初期研修ができると思ったので小児科コースに決めました。また国内・国外留学を積極的に行っており、貴重な経験のできる香川大学で初期研修をしようと思いました。
- 今はどのようなことが大変ですか?
- (小児科研修について) 小児科での研修では手技をさせていただく機会も多く、最初は出来ないことも多かったですがルート確保や採血、輸血手技などは成功体験を重ねることができました。
香川大学の小児科の入院患者さんはcommon diseaseから腫瘍など長期入院が必要なものまでさまざまな方がいますが、実際に主治医チームの一員として治療に関わると自分の知識量が不十分だと思い知り、自己研鑽の日々を送っています。
(一般的な初期研修について) 発表やプレゼンをする機会が多くありますが、わかりやすく簡潔に話すのが苦手なので苦心しています。初期研修ではさまざまな診療科を1ヶ月〜2ヶ月単位でローテーションするのですが、少し慣れてきた頃に次の科に変わるので、気持ち的に大変です。ですが、いろいろな分野の勉強ができるので将来のためのいい経験となっていると思います。
- これから小児科医を目指す後輩にメッセージをお願いします。

- 私はまだ小児科医ではないのでなんとも言えないですが、子どものために働く小児科医はとてもやりがいのある仕事だと思います。
小児科で働きたい方、小児科コースに興味がある方はいつでも相談してください。
小児科の医局説明会なども行っていると思うのでご参加お待ちしています。
最後に
若い先生も多く、活気ある医局です。一緒にがんばりましょう!
