当医局では卒前・卒後教育や卒後臨床研修にも力をいれています。教育と研修について小児科学講座教授 日下隆先生にお話を伺いました。
学生や研修医の指導でこころがけていらっしゃることはどんなことですか。
小児科の勉強や研修では、小児期の特有な発達生理、病態生理学的見地に基づいた理解が最重要であると考えています。このため卒前教育に関しては小児科特有の胎児からの発達(発達小児科学)の基礎知識を身に付けられるように指導し、卒後臨床研修に関しては子供と共に発育する楽しみを臨床現場で獲得すべく、小児科医としての喜びを体得できる研修を心掛けたいと考えています。更に、様々な状況に対応できる教育や人間力の醸成を考慮し、多方面の文化や歴史に対する興味を持つ人材育成を考えています。
香川大学小児科の研修の特徴を教えて下さい。
小児科医が新生児医療に取り組まなければ乳児死亡率は減少しないし、後遺症も減少しないと考えています。そのため当小児科では新生児診療を研修での義務化とし、新生児疾患の鑑別や治療行為が出来るように指導したいと考えています。
また小児科診療は広範囲であるため、各人が専門的なテーマを持ち、小児科専門医と同時にサブスペシャリテイーとしての専門医が取得できるように指導します。
さらに地域の小児科医の先生方に協力して頂き、香川県地域、さらには四国地域での独自の課題解決型教育や臨床実習の枠組みを構築したいと考えています。
日下先生ご自身の研修はどのようなものだったのですか?
私は香川大学(ヨット部に所属していました)を卒業したのちに、すぐに小児科に入局しました。一般小児病棟、NICU、愛媛県での新生児医療を経て、大学病院にもどりました。また、入局と同時に大学院に入学し、新生児の酸素代謝についての研究を続けました。大学病院での診療や研究の一方で、近隣の小児科や夜間診療所、重症心身障害児施設での勤務も経験し、地域医療や障害児医療のことも学びました。
香川大学小児科で研修を考えている方にメッセージをお願いします。
はじめはひろい分野を勉強することをおすすめします。香川大学小児科は地方の大学病院で決して規模が大きいわけではありません。しかしその良さを生かして、専門に偏らず、一般的な病気や健診・予防接種などの予防医学から、腫瘍、3次救急、新生児医療など高度な先進医療も同時に学ぶことができます。さまざまな手技を早期から習得できるのも良いところですし、島での医療や搬送などが学べるのもいいところです。医局はなんでも相談できる雰囲気ですから各人が希望や目標をもって研修し、成熟した小児科医になってほしいと思います。また、将来的には四国地域の小児医療の連携、人材育成をしてアジア地域への医療貢献を目指しています。
(2015.6撮影)