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研究内容(松井・三木・田村)

研究課題:骨欠損部位への自家骨膜・骨髄間質細胞移植による骨再生実験

担当:田村 和也 三木 武寛

プロジェクトの目的・概要

本研究の目的は、再生医学的手法の導入により摘出骨と同形の骨再生が可能となることを証明することにある。骨欠損の修復は、再建外科の分野において重要な課題の一つである。骨欠損、特に下顎骨の再建については、現在、最も安全な方法として血管柄付骨移植が主流となっている。しかしながら、手術侵襲の増大により患者への負担が大きいこと、手術時間の延長、また元通りの下顎形態を再現することの困難さといった問題点がある。
我々はこれらの問題を解決すべく顎欠損に対する幹細胞治療の基礎実験として、新規細胞担体および培養骨膜による骨再生を検討している。

方法

ウサギ腸骨より骨髄細胞および骨膜を採取し、初代骨髄間葉系幹細胞を担体である新規ゼラチンスポンジに播種し、一定条件下で骨芽細胞へ分化誘導した。コンフルエントに達した段階で、ウサギの顎骨欠損部へ担体を移植した。同時に自家培養骨膜で担体上を被覆した。観察期間は、自家培養細胞移植から1~12週間とした。骨形成評価は、免疫組織学的所見、遺伝子解析、三次元X線Micro focus CTによる画像解析により行った。

結果

① 実験群では,コントロール群に比べて欠損形態に類似した骨形成が生じていた。
② マイクロCTによる評価において、実験群はコントロール群に比べて,埋入1週間後より大きな骨面積,高さ,幅を示した。
③ 組織学的検討において,実験群の骨欠損部には正常な骨が新生されていた。
④ 免染の結果から、本法により骨再生(osteogenesis)において重要とされる血管形成(vasculogenesis)の有意な促進が、CD31(血管内皮細胞接着因子)・オステオカルシンの発現様式から示唆された。

以上より,骨髄間質細胞培養系担体と培養骨膜を組み合わせた移植により、良好な骨再生が起こりうることが示唆された。

今後の計画
  1. サンプル数を増加し、実験データの向上。
  2. 免疫組織学的評価・遺伝子解析など評価方法の検討。