診断病理選択コース

1 病理診断科・病理部での研修

香川大学医学部附属病院の卒後臨床研修の選択コースを志望した場合は、3か月あるいは6か月の診断病理選択コースで研修することが可能で、病理診断科・病理部で研修を行います。

2 目標と特徴

卒後臨床研修の目標の一つは、将来専攻する専門分野にとらわれないで疾患を総合的に把握できる能力を身につけることにあります。疾病の発生は全臓器的な関連の中にあり、一臓器の異常が全身の臓器に様々な異常状態を誘起することがしばしば経験されます。病理診断科・病理部での研修は全科的な病理解剖、病理組織診断や細胞診断、各診療科と共催するカンファレンスやCPCなどを通じて病理学的な思考方法を学び、疾患を総合的全身的に把握する能力を身につけることを目指します。

また外科系や内科系を問わず、ほとんどの診療科において病理診断を有効に活用することは診療の質を高める上で重要であり、病理診断業務の初歩を経験し理解を深めることは、将来の専門領域での診療の質を高める上で必要不可欠と考えられます。

3 卒後臨床研修プログラム指導者と関連研修施設

  1. 生検・手術組織病理診断
    羽場礼次
    病院教授、病理診断科・病理部長、准教授:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
    串田吉生
    病理診断科・病理部副部長、講師:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
    門田球一
    助教:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
    香月奈穂美
    病院助教(医局長):日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
    宮井由美
    病院助教:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医
  2. 細胞診断
    羽場礼次、串田吉生、門田球一、香月奈穂美、宮井由美
    全員 日本臨床細胞学会細胞診専門医資格あり
  3. 病理解剖
    羽場礼次、串田吉生、門田球一、香月奈穂美、宮井由美
    全員 厚生労働省死体解剖資格あり
  4. カンファレンス
    串田吉生、香月奈穂美、門田球一、宮井由美、羽場礼次
  5. CPC
    串田吉生、羽場礼次、門田球一、香月奈穂美、宮井由美
  6. 関連研修施設
    済生会今治病院
    坂東健次病理科長:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、死体解剖資格
    姫路中央病院
    小林省二検査部長・病理診断センター長:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、死体解剖資格
    高松赤十字病院
    荻野哲朗病理部長:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、死体解剖資格
    沖縄赤十字病院
    石川雅士検査部長:日本病理学会病理専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、死体解剖資格

【到達目標】

1 生検、手術材料

項 目 自己評価 指導医入力
病理検体の処理、固定が適切にできる。    
固定、包埋、薄切、染色の病理組織標本作製のプロセスを理解している。    
必要に応じて電子顕微鏡、免疫組織学的検査、分子病理検査のための正しい検体の取扱いができる。    
感染症検体の取扱いについて説明でき、感染防御を実践できる。    
検体の肉眼所見、病変分布、計測、性状などについて記録することができ、適切な切り出しができる。    
顕微鏡を適切に使用できる。    
病理標本の肉眼写真撮影が適切にでき、顕微鏡写真撮影法を知っている。    
肉眼および顕微鏡所見と画像所見を対比することができる。    
病理診断における臨床情報の重要性を理解でき、病理診断に必要な臨床所見、検査所見、画像所見を解釈できる。    
病理診断記録の所見を解釈できる。    
病理学的事項に関して、カンファレンスあるいは研究会で発表する。    

2 術中迅速診断

項 目 自己評価 指導医入力
凍結切片による迅速診断の意義と適応及び限界を理解し、その作製ステップを熟知している。    
迅速診断材料の取扱いが適切にできる。    
迅速診断に必要な病変部の切り出しができる。    

3 細胞診

項 目 自己評価 指導医入力
細胞診検体の処理が適切にできる。    
細胞診の診断の特殊性と限界を理解した上で、その有効性を説明できる。    
細胞診における細胞検査士との連携の重要性を理解している。    
定型例の細胞診断ができる。    

4 剖検

項 目 自己評価 指導医入力
剖検に必要な法的事項を知っている。    
病理解剖に必要な書類を準備できる。    
剖検を始めるにあたり、主治医と問題点について十分に討議できる。    
剖検の意義を認識し、遺体に対して礼を失うことなく丁重に取り扱うことができる。    
剖検に必要な設備と器具の特徴及び使用方法を熟知し、それらを正しく使用できる。    
剖検に際して不必要な汚染や感染を避けるための知識を有し、それを実践できる。    
全身剖検の手技、それぞれの症例にあった解剖方法を習得している。    
肉眼所見を正しく把握し、整理して剖検台において肉眼所見に基づく暫定的病理診断ができる。    
必要に応じて細菌検査、生化学的検査等を依頼するなど適切な処理ができる。    
最終診断のため的確な切り出しができる。    
肉眼および組織学的所見から、最終的剖検診断を作成するプロセスを知っている。    
治療上問題となった事項を列挙し、最終的な剖検診断からそれに対する解説ができる。    
CPCに参加して討論に加わり、症例について臨床側と意見を交換することができる。    

5 その他

項 目 自己評価 指導医入力
病理診断科・病理部の日常業務内容並びに病理部門の果たす役割を理解している。    
細胞検査士の業務を理解し、共同作業ができる。    
カンファレンス、研究会活動を通じて、各症例の病態をより普遍的、体系的にまとめ文献的考察を行い、論議を深めることができる。    

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病理診断科・病理部病理専門医育成プログラム(募集定員 3名)

1 講座紹介

  1. 病理診断学での病理診断における幅広い知識や能力を学ぶことができます。
    (病理組織診断〔生検・手術組織〕、細胞診断、術中迅速診断、病理解剖)
  2. チーム医療(集学的治療)における病理診断学の役割や能力を学ぶことができます。
  3. 病理診断学における臨床的研究に必要な基礎的知識を学ぶことができます。
  4. 大学院社会人枠を利用して病理診断科医員を兼務しながら病理診断科大学院コースに進学できます。

2 専門医育成プログラム

年 次 修得すべき手技や経験目標数等
1年次
(医師3年目)
生検診断(500)、手術組織切り出し・診断(240)、術中迅速診断(250)〔組織(200)、細胞(50)〕、病理解剖(10)、特殊染色(6)、免疫組織化学(12)、蛍光抗体(12)、電顕(12)、カンファレンスでの発表

学会発表・症例報告1回以上

2年次
(医師4年目)
生検診断(1000)、手術組織切り出し・診断(240)、術中迅速診断(250)〔組織(200)、細胞(50)〕、病理解剖(10)、特殊染色(6)、免疫組織化学(12)、蛍光抗体(12)、電顕(12)、カンファレンスでの発表

学会発表・症例報告1回以上

3年次
(医師5年目)

生検診断(1500)、手術組織切り出し・診断(240)、術中迅速診断(250)〔組織(200)、細胞(50)〕、病理解剖(10)、特殊染色(6)、免疫組織化学(12)、蛍光抗体(12)、電顕(12)、カンファレンスでの発表

学会発表・症例報告1回以上

(4月 死体解剖資格を厚生労働省に申請) 

4年次
(医師6年目)
生検診断(2000)、手術組織切り出し・診断(240)、術中迅速診断(250)〔組織(200)、細胞(50)〕、病理解剖(10)、特殊染色(6)、免疫組織化学(12)、蛍光抗体(12)、電顕(12)、カンファレンスでの発表

学会発表・症例報告1回以上

(7月 日本病理学会 病理専門医試験を受験)
(12月 日本臨床細胞学会 細胞診専門医試験を受験)

専門医取得後 病理診断科・病理部の関連病院あるいは希望地域(全国)で病理診断医として勤務

大学附属病院でスタッフとして勤務

国内・国外において病理診断学のsubspecialityを目指して長期・短期研修

3 専門医資格のために必要とされる技能・手技目標

NO 専門医資格 技能・手技目標及び受験資格等
1 病理専門医
(約4年目で取得可能)
死体解剖資格、日本病理学会会員歴3年以上、病理診断を3年以上経験、執刀した病理解剖を30例以上経験、病理診断を5000例以上経験(術中迅速診断を50例以上)、CPCを2例以上担当、日本病理学会が開催する講習会を1回受講、病理診断学に関する論文・学会報告が3編以上など
2 細胞診専門医
(約3年で取得可能)
医師資格取得後5年以上、日本臨床細胞学会会員歴3年以上、細胞診断学に関する論文3編以上など
3 死体解剖資格
(約2年で取得可能)
病理解剖20例以上経験

4 関連教育病院

NO 関連教育病院名 習得可能な専門医資格
1 済生会今治病院 病理部 坂東健次(病理科長) 病理専門医、細胞診指導医・専門医
2 姫路中央病院 検査部 小林省二(検査部長・病理診断センター長) 病理専門医、細胞診指導医・専門医
3 高松赤十字病院 病理部 荻野哲朗(病理部長) 病理専門医、細胞診指導医・専門医
4 沖縄赤十字病院 検査部 石川雅士(検査部長) 病理専門医、細胞診指導医・専門医

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