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研究紹介

血流と皮弁の関係

血流と血栓形成のメカニズムの解明

皮弁移植を行うにあたっては、組織の血行が担保される必要があります。そのためには皮弁への血流が確実に供給されることが必要ですが、状況によっては皮弁の血管が圧迫を受けたり、不適切に配置されたりすることによって血栓が生じてしまうことがあります。手術を成功させるためにはこうした血栓が形成されることを防がなくてはいけません。そのためにはまず「どのような血流環境下において血栓は形成されやすいのか」を解明しなくてはいけません。

香川大学形成外科においては、特殊な血流環境の代表的な例として動静脈シャントモデルを創り、同モデルを用いて血流と血栓の関係を解明する研究に取り組んでいます。

図1:シャントループの作成

図1:ウサギの血管を用いてモデルを作成します。大腿動脈ー移植血管ー大腿静脈よりなるループを作成し、どの部分に血栓が生じやすいのかを解明します。

図2:早期血栓の病理学的検証

図2:早期において血栓が生じた血管(左)と開存していた血管(右)との比較。白色血栓が早期閉塞の原因となること、ならびに早期における血栓の形成がなくとも、緩徐な晩期血栓が形成されうることがわかりました。

図3:早期血栓と部位との関連

図3:早期血栓と、部位との関連を検証したところ、動脈と移植血管の吻合部に血栓が形成されやすく(左)、移植血管の反転部では白色血栓が外周側の血管壁に付着することがわかりました(右)。

図4:移植血管の変化(早期)

図4:移植血管の組織像を検証したところ、早期においては反転部位において外周側の内膜構造が障害を受けやすく(左)、白血球が内膜に癒着すること(右)が解明されました。

図5:移植血管の変化(晩期)

図5:晩期における移植血管の組織像を検査したところ、外周側に沿って成熟した血栓の形成が認められ、血管の内腔が狭窄することが確認されました。

図6:流体力学からみた移植血管部の検証

図6:流体力学的解析を行って血流の状態を可視化したところ、移植血管の内周側においては血流速度は低下していますが、外周側においてはhigh flowとなることが確認されました。このことから、なぜ外周側の内膜が障害を受けやすいのかが解明されました。

図7:動脈と移植血管の吻合部の検証

図7:動脈から移植血管に血液が流入する部分と外周側においては血管壁にずり応力が加わりやすく、ために血栓が生じやすいことが解明されました。

研究発表:
Tanaka Y, Koghure T, Ueno M, Sugiyama H, Hamamoto Y, Tamai M, Taguchi N, Sakamoto H.
Effects of flow patterns and hemodynamic force on vascular endothelium in the temporary arteriovenous shunt loop in rabbits. J Reconstr Microsurg. 29:331-340, 2013.

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