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MRI融合前立腺生検

前立腺癌の診断に革命をもたらしたMRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検

香川大学医学部附属病院泌尿器科では、2024年7月よりBioJet®システムを用いたMRI-超音波融合画像に基づく経会陰的前立腺生検を開始しました。

この生検法は、PSA高値の患者様に対し、検査前に撮影したMRI画像と生検時の超音波画像をリアルタイムで融合させ、前立腺癌が疑われる部位を正確に標的として針生検を行う方法です。


BioJet®システム

MRI-超音波融合画像ガイド下生検登場の背景

前立腺癌の診断において、これまで主流だったのは系統的生検でした。この方法では、前立腺をランダムにサンプル採取するため、診断精度に限界がある場合がありました。特に命に関わる可能性のある癌を見逃すリスクが指摘されていました。

この課題を解決するために登場したのがMRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検です。MRI画像は、前立腺癌が存在する可能性の高い部位を視覚化することが可能で、MRI画像の所見をPI-RADS(5段階評価)で解析し、癌が疑われる部位を標的として生検することで、従来の方法では困難だった正確な診断が可能となりました。

香川県内での普及状況と当院での取り組み

県内でこの検査を実施しているのは当院とKKR高松病院のみで、2022年4月より保険適用となりました。さらに当院では、将来的にこのMRI融合生検で得られた所見をもとに、高密度焦点式超音波治療法(HIFU)を導入し、より負担の少ない治療を提供する計画を進めています。

HIFUの詳細は後述しますが、前立腺癌の標的治療において体への負担が少ない画期的な治療法で、この取り組みにより、多くの患者様に恩恵をもたらせると信じています。皆様の医療施設と連携し、この先進的な技術を活用することで、香川県全体の前立腺癌診断・治療フローがさらに充実することを願っています。

高密度焦点式超音波療法(HIFU)を用いた前立腺癌局所療法(Focal therapy)

ご紹介のお願い

PSA高値の患者様で、前立腺癌が疑われる場合にはぜひ当院へのご紹介をご検討いただけたら幸いです。他院で撮影されたMRI画像がある場合でも、多くの場合で再撮影の必要はございません。
患者様への適応確認や詳細な説明は当院で対応させていただきます。

*PI-RADS :Prostate Imaging‒Reporting and Data System


緑が前立腺、赤色と褐色の球体が病変


泌尿器科教室だよりURO info(vol.004 / 2025年2月号)-pdf